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「東急の自動運転バス」実証実験2回目、真の目的と課題が見えた杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)

東急と東急バスが、3月に多摩田園都市エリアで自動運転バスの実証実験を行った。2回目の実験で、今回は新たなルート。一般試乗客を募り、LINEでの予約システムの実験も行われた。安心・安全を強化するため、車内外の遠隔監視システムの運用実験も行われたが、サービス提供にはまだ課題がある。

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 東急と東急バスは、2023年3月7日から13日まで、多摩田園都市エリアで自動運転バスの実証実験を行った。これは昨年(22年)9月に実施した実証実験に続く2回目だ。今回は新たなルートが設定された。とはいえ、最も近い場所で約230メートルしか離れていない。新たなルートはほぼ団地沿い。スーパー、レクリエーション施設を経由する。「一般試乗客」を募り、LINEを使った予約システムの実験も行われた。安心・安全を強化するため、車内外の遠隔監視システムの運用実験も行われた。


実証実験2回目はスーパーマーケットを経由

 前回の実証実験の様子は、当時の本連載で紹介した。

【関連記事】東急バスのEV自動運転バス 当面の目標は「路線バスの先」にある(22年9月18日の本連載)

 前回のルートは片側1車線道路を選び、歩道と路側帯のあるバス通り、小学校前横断歩道、坂道、信号機のある交差点がある場所を通った。これは主に技術的な実験ルートだ。バス通りは混合交通の対応を検証した。横断歩道は歩行者安全、坂道はバスの登坂性能と速度変化、交差点は左折の安全性を確認した。

 特にバス通りは重要だ。多摩田園都市の住宅地区の道路は幹線道路間の通り抜けはできない設計になっており、大型トラックの走行は少ない。ただし2つの駅へ向かう路線バスが頻繁に走る。自動車はマイカー、配達用トラックなど商用車が通り、自転車は主に車道の端を使う。

 バス通りで歩行者は主に歩道を通行するけれども、ふらっと車道側に出ることがある。なぜなら歩道が歩きにくいからだ。この辺り、街路樹の根で歩道が膨んでいるためつまづきやすい。曲がり角で歩道が途切れるたびに段差がある。住宅の車庫入り口で歩道が道路側に傾いている。高齢者、杖を使う人、ベビーカーなどを使う人にとって歩きにくいところがいくつかある。

 余談だが、歩行者のはみ出し問題は自動運転に限らず、人のドライバーも考慮すべきことだ。鉄道のバリアフリー化が進むなかで、車道脇の歩道はどうだろう。段差などない方がいい。では車道との区分はどうする? 道路全般の問題として、歩道のあり方は見直すべきかもしれない。


第1回と第2回の実験ルートは近接している。もはや多摩田園都市に導入する前提かのようだ(地理院地図を筆者が加工)
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