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吉野家「定年社員のドライバー再雇用」に、「おじさんのプライド論」での批判はナンセンスなワケ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
吉野家HDの「定年社員をトラック運転手として再雇用」や、タニタの「ベテラン社員が若手の横で社内清掃」など、定年再雇用が話題になる度に「プライドがもたない」といった意見が散見される。しかし、こうしたプライド論は本質的ではない。人生の「最後の仕事」に向いているのは、どんな仕事なのか?
「ベテラン社員が若手の横で社内清掃」──。
これは2012年8月の「改正高年齢者雇用安定法の成立」の2カ月後に、大手新聞(産経)の紙面を大々的に飾った記事の見出しです。
「大手計測器メーカーのタニタの本社では、60歳を過ぎたベテラン社員が若手社員らのそばで社内を清掃している」との文言で始まるこの記事は、タニタの雇用延長の取り組みを報じたものでした(以下、内容の抜粋)。
同社は2年前、65歳までの雇用延長の義務化を見据えて、60歳定年を迎えた社員を一定条件で再雇用するタニタ総合研究所を設立。64歳までの20人を再雇用し、主に本社のビル管理や機器リースなど外部に委託していた業務を手がけ、コスト削減に貢献している。(中略)
「仕事に就く前には十分に話し合い、納得してもらっている」(タニタ総合研究所の今正人社長)といい、中には技術を生かしてデザインを担当しているベテランもいる。だが、若手の仕事を奪うわけにはいかず、継続雇用の安定のためには「社外で仕事を探すことが課題」(今社長)になっている。
「ベテラン社員が社内清掃」=「プライドがもたない」なのか?
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