高騰するマンション価格、2010年の約2倍に “バブル”はいつ弾けるのか:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/2 ページ)
全国のマンション価格は13年前と比較して「ほぼ2倍」まで値上がりしている。長く“安全な資産”と見なされてきたマンション価格が、値下がりする時は来るのか。
「値下がりしない」神話の不動産価格
不動産価格指数の推移を長期で確認してみると、マンション価格は08〜10年のリーマンショックや18年の米国における利上げショック、20年のコロナショックでも指数の大幅な下落が発生しなかった。このため、リスク局面においても盤石な価格推移をする、かなり安全な資産のようにも見えてしまう。
しかし、このような“マンション神話”が聞こえてきたら、反対に不安になった方が良いのかもしれない。これは、かつてのバブル末期に囁かれた“持ち家神話”や“土地神話”の例においても同様に指摘される。
一足先に金利が上昇してきた米国の住宅価格指数は、すでにリーマンショック前と同じようなピークアウトの様相を示している。日本で金融政策の見直しが本格化した場合には同じように値下がりも覚悟しなければならないだろう。
米国のS&Pケース・シラー住宅価格指数は22年にピークアウトしてから、今まさにマイナスに転じようかとする水準まで下落してきている。
最近、金利が上がりそうだという情報がSNSや市中でもしきりに囁かれることとなった。実際に金融政策の転換が発生したとしても、住宅ローンが上がりきるまでには相応のタイムラグがある。従って、金利がさらに上がるという予想が増えてくると同時に駆け込み的な住宅の買い需要が発生し、ピークをつける可能性がある。
08年以降に利下げ相場になっても、しばらくは住宅価格の低迷が発生していた。景気が後退してしまえば、需要そのものが減退し、金利にかかわらず住宅価格は下落する──という可能性を、歴史は示している。
日本の場合は、脱コロナによる都心部への再度の人口集中、低金利政策、リニアモーターカーやインフラ整備の導入など多岐にわたる値上がり要因があり、やや特殊と言える。これらの要因が相まって、不動産業界の大手各社では最高益ラッシュが起きている。
しかし、マンション価格のみ独歩高な点や、物価高に対応するための金融政策の見直しによって、米国の不動産価格推移を日本も今後なぞっていく可能性があるとするならば、“マンション神話”に陰りが見えてくる可能性も十分視野に入れておかなければならないだろう。
筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCEO
1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら
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