バルミューダはなぜスマホ事業から撤退するのか 後継機種が幻と化した2つの理由:広報に聞いた
バルミューダはスマートフォン事業から撤退すると発表した。経営上の選択と集中を図るため。専用アプリのアップデートなどのアフターケア、関連アクセサリーの提供は継続する方針だ。
バルミューダは5月12日、スマートフォン事業から撤退すると発表した。経営上の選択と集中を図るため。専用アプリのアップデートなどのアフターケア、充電器など関連アクセサリーの提供は継続する方針だ。
コスト高、半導体不足...... 開発中の後継機種は幻に
同社広報は取材に対し「原材料価格の高騰や、半導体不足が主な理由」と説明する。同社は21年11月、初代「BALMUDA Phone」を発売。スマホ事業に参入した。BALMUDA製品の優れたデザイン性を踏襲した専用アプリや、コンパクトなサイズ感が話題となった。発売当初は米アップルのiPhone並みの10万円以上という価格にも注目が集まった。
広報によると、社内では2度にわたって、後継モデルの開発に着手していたという。だが、3号機(仮)の開発中に、原材料価格が急騰。スマホに欠かせない半導体の確保も困難となった。製造コストが上昇したことで「われわれが提供したい品質と、ユーザーが求めるであろう想定価格でミスマッチが起きた」。広報はこう語った。
最終的に4月に事業終了の方針を固め、取締役会の承認を得て、正式発表となった。
同社のスマホは、社内の別事業として「バルミューダ・テクノロジーズ」が手掛けていた。スマホ事業は終了となったものの、組織は解散せず、ソフトウェアの開発を継続する方針を示している。
家電向けのソフトウェア開発へ ノウハウ継承
その理由として同社広報は、近年のIoT家電の需要の高まりを指摘。「『BALMUDA』ブランドのチームが開発した製品に、スマホ事業のチームが開発したソフトウェアを組み合わせるようなことを想定している」とした。
「スマホ事業は終了となったが、今後の社内の新事業にノウハウや知見を生かしていきたい」(同社広報)
約1年半で1機種のみで事業は打ち切りとなったが、同社の看板でもある家電事業で「バルミューダスマホ」のDNAは流れ続ける。今後の同社製品の動向に注目が集まりそうだ。
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