ジャニーズ事務所はどうなる? 企業が「昔の問題」をウヤムヤにする方法:スピン経済の歩き方(7/7 ページ)
ジャニーズ事務所が揺れている。英BBCのドキュメンタリー番組に端を発した性加害疑惑について、藤島ジュリー景子社長が見解を発表した。組織へのダメージを少なくして、逃げ切る作戦に打って出たようだが、うまくいくのだろうか。ジャニーズ側は大きな不安要素を抱えていて……。
藤島ジュリー景子社長が迫られる選択
この矛盾は必ず追及される。テレビや新聞はやらないだろうが、文春や新潮などの週刊誌、個人のジャーナリスト、そして何よりも日本のマスコミのような「忖度」のない、BBCなどの海外メディアには格好の「餌食」だろう。
最悪の実態を避けるためにも、個人的には、騒動の責任、ジャニーズ事務所の異常なガバナンスを看過してきた責任をとって、藤島ジュリー景子社長も何かしらの「ケジメ」を取るべきではないかと思う。そして、新しい社長は喜多川・藤島一族ではない、元アイドルなどの人が後任社長になるべきだろう。
ジャニー氏は偉大なエンタメ業界人だが、こういう「闇」が暴かれてしまった以上、その系譜の人が経営を握っていては「器」が代わっただけで、「中身」は何にも変わっていない印象を与えてしまう。そして、藤島ジュリー景子社長体制が続く限り、事あるごとにこの「過去の罪」が蒸し返される恐れもある。
世界的に見ると、同族企業はビジョンを共有しやすいし、経営も安定するので悪いことばかりではないとされる。が、日本の場合はそういうメリット以上に、創業者や一族の不正や違法行為を助長して、それを隠ぺいするというデメリットが強くなってしまうケースが多い。
今回、未成年者へのアイドルデビューをサポートしながら、その見返りに合宿所や自宅で性加害に及ぶというのは、世界の常識に照らし合わせても「卑劣な犯罪」だ。この危機意識が、日本のマスコミはもちろん、ジャニーズ事務所自身にもないように思う。
いずれにせよ、そう遠くない未来、藤島ジュリー景子社長は「一族経営」を守るか、「ジャニーズ事務所を守るか」という厳しい選択を迫られるのではないか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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