ジャニーズ事務所はどうなる? 企業が「昔の問題」をウヤムヤにする方法:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
ジャニーズ事務所が揺れている。英BBCのドキュメンタリー番組に端を発した性加害疑惑について、藤島ジュリー景子社長が見解を発表した。組織へのダメージを少なくして、逃げ切る作戦に打って出たようだが、うまくいくのだろうか。ジャニーズ側は大きな不安要素を抱えていて……。
「社内で誰も知らなかった」ことが異常
当時は「独裁者」のゴーン氏の不正を告発したヒーローのように扱われたが、マスコミがゴーン氏の常軌を逸した私物化や、贅沢(ぜいたく)な散財などを報じるようになると、「副会長で、ゴーン氏の側近中の側近だった西川さんは知っていたのでは」と一部で疑いの目を向けられるようになった。
そんな西川社長もゴーン体制でうまい汁を吸っていたのではないかという憶測もあり、しばらくすると、西川社長が不当に多く役員報酬を受け取っていたのではないかという疑惑が持ち上がる。
結果、社内調査が行われてそのような事実はないとなったが、現場社員や世間の不信感は拭えなかった。その後の取締役会から即時辞任が主張されて、代表執行役社長兼CEOを辞任した。
日産はあらゆるガバナンスの問題、不正、闇をゴーン氏に押し付けて「犯罪者」として追放することで、新しく生まれ変わりをするという、企業危機管理としてはかなり大きな勝負に出た。そして、見事にそれを達成した。が、残念ながらそれを主導した西川社長まで守ることはできなかった。
人を呪わば穴二つではないが、「この不正はこいつが悪い」と攻撃した人間が、その罪人と近い距離ならば当然、「だったらお前も同罪だろ」となってしまうのだ。
残念ながら、今回の藤島ジュリー景子社長にも当てはまる。先ほども触れたように、この問題は1999年の『週刊文春』報道から多くの元ジャニーズ男性たちが告発をして、裁判にもなっている。テレビや新聞、エンタメ業界で生きる人たちが自主規制でタブー扱いしていただけで、一般人はネットやSNSでも周知の事実として語っている。
しかも、これまでの被害者たちの証言を聞いても分かるように、ジャニー氏の自宅や宿泊先のホテルに、未成年者が多数宿泊しているが、その送迎などはジャニーズ事務所の人間がサポートしていた可能性が高い。性加害後、彼らと話をする機会もたくさんあった。
20年近く週刊誌などで追及され、ジャニーズJr.の間でもうわさになっていた。そこから目をそらし、耳を塞いでジャニー氏のもとに未成年者を送り続けていて、「何も知りません」と言い切れる事務所の感覚のほうが「異常」だと言わざるを得ない。
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