ジャニーズ事務所はどうなる? 企業が「昔の問題」をウヤムヤにする方法:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
ジャニーズ事務所が揺れている。英BBCのドキュメンタリー番組に端を発した性加害疑惑について、藤島ジュリー景子社長が見解を発表した。組織へのダメージを少なくして、逃げ切る作戦に打って出たようだが、うまくいくのだろうか。ジャニーズ側は大きな不安要素を抱えていて……。
うまくいかないケースも
例えば最近では、エネルギー事業などを手がけるTOKAIホールディングスが、22年9月に解任された鴇田(ときた)勝彦前社長の不適切な経費使用に関する調査報告書を公表し、その中に「会社の保養施設で女性コンパニオンと混浴を繰り返した行為が会社の信用を低下させる恐れがある」という指摘もあり大きな話題になった。
鴇田前社長はこの混浴には現在の会社幹部なども参加をしていることなどを挙げて、自分が楽しむためにコンパニオンを呼んだわけではなく、会社の保養所を用いて得意先などの接待していた、として「業務の一環」だと反論している。つまり、会社全体で業務としてモラルの欠いた接待をしていたはずが、いつの間にやら社長個人がコンパニオンを呼んで、個人の好みで混浴接待をしていたように事実を捻(ね)じ曲げられたというワケだ。
この真相は定かではないが、このような組織全体で行なっていた不祥事がいつの間にやら、個人の不祥事へと「格下げ」されて、それが社会的評価として定着する、というケースはよくある。
社会一般の常識では「トカゲの尻尾切り」にも見えるが、企業危機管理の世界では組織へのダメージを最低限に抑えたということで、「成功」にあたるのだ。
ただ、この「個人犯罪への矮小化」がうまくいかない場合もある。それは「不正を起こした人間との距離の近さ」である。例えば、前社長にすべての罪を被ってもらおうというとき、それを声高に糾弾しているのが、前社長といつも行動をしていたナンバー2や側近中の側近だったらどうか。
「おいおい、お前も同罪だろ」「前社長が不正をしていたというけれど、あなたも当然それは知っていたんじゃないの?」というツッコミが全方向から寄せられるはずだ。今回の藤島ジュリー景子社長は、そのような疑いの目を向けられてしまう。当然だ。アカの他人ならばいざ知らず、メリー喜多川氏の娘として若くして、事務所内で権力があったというのは、誰もが知るところだ。
こういう疑いの目を向けられた人は、企業を守るためには最終的に身を引かなくていけなくなるかもしれない。分かりやすいのが、いわゆるゴーン事件における日産の西川廣人社長(当時)だ。
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