なぜ人は「激安タイヤ」を買うのか アジアンタイヤの存在感が高まるリスク:高根英幸 「クルマのミライ」(3/7 ページ)
アジアンタイヤが日本で存在感を増している。大きな理由として「安い」ことが挙げられる。しかし、本当にそれでいいのかというと……。
タイヤ開発の現場を視察も、企業秘密の塊
筆者は先日、横浜ゴムの研究所で毎日タイヤの走行試験を繰り返す開発現場をのぞかせてもらった。しかし最新の機材や独自のノウハウが多く、撮影はNG。
タイヤは素材と構造、表面のゴム素材とトレッドパターンなど工夫を凝らす要素が多岐に渡る。そのため開発や生産の現場を見せてもらう機会はあっても、なかなか画像を公開することはできない。これもタイヤの性能や品質をユーザーが意識しにくい原因の一つではないだろうか。
今やトヨタが純正採用するくらいだから、アジアンタイヤと言えど品質管理をしっかりと行なっているところもある。
クムホやハンコックといった韓国の実績あるブランドであれば、品質もかなり期待できるが、アジアンタイヤとしては価格は高めだ。それをあえて選ぶのであれば、問題は少ない。けれどもアジアンタイヤを選ぶ多くの人は、これら2ブランド以外の新興ブランドであるケースが多い。なぜなら、それらは圧倒的に価格が安いからだ。
EVにとってタイヤの静粛性は、非常に重要だ。そして発進から強大なトルクを発生させて加速して、車重もあるEVではその性能を支えるタイヤのグリップ性能も高レベルが要求される。したがってEVのシェアが高まるこれからは、ますますタイヤの性能が求められていくことになる。
一方、スポーツカーはどうかというと、強大なパワーを誇るGTカーやスーパーカーはそれなりのグリップ力が要求されるが、軽量コンパクトを身上とするクルマはそうでもない。というのもグリップ力の高いタイヤは路面への摩擦力が強いので、そのぶん駆動損失となって駆動力も吸収されてしまう。走りの軽快感も損なわれるから、グリップ力が大きければ大きいほどいいわけではないのだ。
そう、実はスポーツカーはタイヤへの依存度が低い。というのも軽量で低重心、サスペンションも引き締められており、そもそも運動性能が高いから、タイヤのグリップ力が低くても、それなりに走れてしまう。一般道を普通に走るなら、高いグリップ力など必要ないのである。
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