和製ChatGPTで「戦いに参入すべき」 松尾豊東大教授が鳴らす“警鐘”とは?:知財や著作権にリスク(1/3 ページ)
経営者層がいま、最も注目しているビジネストピックが「ChatGPT」などの生成AIだろう。日本ディープラーニング協会理事長で、東大院の松尾豊教授の登壇内容をレポート。ChatGPTをはじめとする生成AIを組織内でどのように活用していくべきなのか。ビジネスで活用する上で、どんな点に注意すべきかをお伝えする。
経営者層がいま、最も注目しているビジネストピックが「ChatGPT」などの生成AIだろう。ソフトバンクは、生成AIを開発するための子会社を設立。サイバーエージェントも最大68億パラメータの日本語大規模言語モデルを一般公開した。
東京工業大学や富士通なども、スーパーコンピューター「富岳」を使って2023年度中に、より高度な生成AIを開発すると発表。このように日本企業にも“和製ChatGPT”開発の機運が生まれている。
一方で急速な進化を続ける生成AIには、その活用方法について、さまざまな議論が噴出中だ。
AIに与えた情報が学習される仕様であることから、情報漏えいのリスクも指摘されている。実際にイタリアでは3月末、ChatGPTの使用が個人情報保護法違反にあたる疑いがあることから、使用を一時禁止していた。企業や大学などの現場でも、利用の可否については対応が分かれている。
こうした状況の中、ChatGPTをはじめとする対話型AIに対し、どういうルールのもとに利活用していくべきか議論されている。岸田文雄首相はG7広島サミット2023でも生成AIを議題に上げた。担当閣僚の枠組みとして「広島AIプロセス」を立ち上げ、生成AIへの見解を年内にとりまとめる方針を明記している。
5月1日には、日本ディープラーニング協会(JDLA)が「生成AIの利用ガイドライン」を発表した。ChatGPTをはじめとする生成AIを組織内でどのように活用していくべきなのか。ビジネスで活用する上で、どんな点に注意すべきかをアナウンスした。
JDLA理事長で、東京大学大学院工学研究科の松尾豊教授の発表内容を中心に、ChatGPT利用についての最新の事情、生成AIを利用する上でのリスクについてレポートする。
松尾氏語る 「生成AI利用時に最も大切なこと」とは?
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