「営業はしない」 「さらば青春の光」をヒットさせた敏腕マネジャーの仕事術:異才を見いだす「育てるマネジメント」(1/4 ページ)
お笑いコンビ「さらば青春の光」のマネジャーを務めるヤマネヒロマサ氏。彼はどのようにして「さらば」の2人ひいてはザ・森東を成長させてきたのか。話を聞くと「いわゆる営業はしない」「普段はマネジャーだという意識はあまりない」と、独自の仕事論が明らかに。
連載:異才を見いだす「育てるマネジメント」
働かないおじさん、管理職にならない若者……現代は、責任を負い、才能を育てるマネジャーへのイメージが著しく下落している。そんな中、不確実性が高い芸能界やアスリートの世界でも結果を残す名物マネジャーはどのようなことを意識してマネジメントを行っているのか――。多くのエンターテインメントビジネスのプロデュースを手掛けるFIREBUGの佐藤詳悟CEOが、今気になるマネジャーを訪ね、才能を発掘する方法、育てる方法、軌道にのった後のマネジメントの在り方を議論する。
吉本興業でナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号、ロバートのマネジャーを務めた後、FIREBUGを立ち上げた佐藤詳悟氏。FIREBUGでは、才能を拡張させる“タレントエンパワーメントパートナー”として、多くのタレントのプロデュース戦略を手掛け、企業向けにはタレントを軸としたコンテンツを中心にマーケティングソリューションを提供している。
本連載では、マネジメントのプロである佐藤氏が、今会いたい“敏腕マネジャー”と対談し、メンバーのモチベーションを上げたり、才能を開花させたりするヒントを探っていく。
第3回目となる今回の対談相手は、お笑いコンビ「さらば青春の光」のマネジャーを務めるヤマネヒロマサ氏。「さらば青春の光」はもともと大手芸能事務所に所属していたが、2013年に株式会社ザ・森東を立ち上げ独立。そこに以前から「さらば」の運営を手伝っていたヤマネ氏がマネジャーとして参画し、現在は3人で会社運営をしている。
「さらば」に関わるまで、マネジメントや経営に携わったことはなかったというヤマネ氏。そんな彼がどのようにして2人を、そして会社を成長させてきたのか。お話を伺った。
芸人、バンドマンを経て、まだ売れてない「さらば」のマネジャーに
佐藤詳悟氏(以下、佐藤氏): ヤマネさんは現在は「さらば」のマネジャーとして活躍されていますが、それまではどんな経歴を歩んできたんですか?
ヤマネヒロマサ氏(以下、ヤマネ氏): 実は、キャリアのスタートは芸人からなんですよ。4年くらい芸人をやって、その後はバンドをやってましたね。自分たちでインディーレーベルをやりながら。それが今までで一番長く続いて、15年くらいはやっていたかな。
バンドを辞めたあとは音楽関係の裏方の仕事をしていました。そのときに並行して「さらば」の手伝いもしていたんです。正式にマネジャーのオファーを受けて、本格的に関わり始めたのは2016年からですね。
佐藤氏: その頃の「さらば」はすでに売れていましたか?
ヤマネ氏: いや、全然(笑)。「さらば」はもともと松竹芸能に所属していたのですが、2013年に独立。独立してすぐに始まった『さらば青春の光ふぁいなる』という番組内の企画で立ち上げたザ・森東という会社を、その番組が終わるタイミングで番組から譲り受けて自分たちで管理・運営をしていました。その会社に僕もマネジャーとして参加した形なのですが、奥さんにはすごく心配されましたね。
長年芸人、バンドマンとふらふらしてきて、やっと腰を据えて働こうと思った先が仕事のない個人の芸能事務所ですから。傍から見ると、ギャンブルのようなもんですよね。
佐藤氏: それでもマネジャーに転身することを決めた理由はなんですか?
関連記事
- 管理職は「感情労働」 反発する部下やプレッシャーをかける上司と、どう戦う?
業務量の増加や世代間ギャップなど、管理職の悩みは尽きない。生き残りに必死でプレッシャーをかけてくる上司や経営層と、労働環境に不満をため込む部下に挟まれ、現場で孤軍奮闘する。そんな現実の中、管理職はどのように自分の仕事をとらえ、働くべきなのか──? - 上意下達、つまらない経営会議──丸井は昭和的な古い文化から、どう生まれ変わった?
以前は上意下達で、昭和・平成的な組織だったという丸井グループ。会社がつぶれるのが先か、文化・風土が変わるのが先か……という経営危機を経て、どのような組織変革をしたのか。人的資本経営を進める専務執行役員 CHRO石井友夫氏に話を聞いた。 - 吉野家「定年社員のドライバー再雇用」に、「おじさんのプライド論」での批判はナンセンスなワケ
吉野家HDの「定年社員をトラック運転手として再雇用」や、タニタの「ベテラン社員が若手の横で社内清掃」など、定年再雇用が話題になる度に「プライドがもたない」といった意見が散見される。しかし、こうしたプライド論は本質的ではない。人生の「最後の仕事」に向いているのは、どんな仕事なのか? - 「課長にすらなれない」──絶望する40代社員が増えるワケ
真面目に勤めてきたが、上の世代とは違い「課長にすらなれない」──そんな状況に絶望する40代社員が増えています。減り続ける管理職ポストの実態と、深刻な賃金格差とは。「肩書きなき40歳問題」について河合薫氏が解説します。 - 丸井が思い切って「個人の成果評価」を辞めたら、どうなった?
個人の成果評価を辞め、チームの成果を追う形式に評価制度を改革した丸井グループ。導入前には「チーム内で頑張っている人と、そうでもない人が同じ評価になるのは理不尽ではないか」と危惧する声が多かった。それでも、思い切って個人の成果評価を辞めた理由とは? その結果はどうなったのか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.