青山商事 屋号を変える激変の裏に「ビジネスモデル崩壊」の過去:4ブランド集約のワケ(1/2 ページ)
青山商事は5月11日、「THE SUIT COMPANY」(ザ・スーツカンパニー)を、4つのブランドを1店舗に集結したOMO型店舗「SUIT SQUARE」(スーツスクエア)へ屋号を変更した。銀座店では1500着以上を店頭に用意していたスーツを約3分の1に減らし、売り場面積も圧縮。屋号を変えるという大きな変化の裏に、どのようないきさつがあったのか。
青山商事は5月11日、ビジネスウェア事業の一つである「THE SUIT COMPANY」(ザ・スーツカンパニー)を、4つのブランドを1店舗に集結したブランドコンテンツミックスOMO(オンラインとオフラインの融合)型店舗「SUIT SQUARE」(スーツスクエア)へ屋号を変更した。
第1号店として「SUIT SQUARE TOKYO GINZA店」を5月11日にオープンした。同店では1500着以上を店頭に用意していたスーツを約600着(スーツ500着、礼服100着)に減らし、売り場面積は240坪から112坪に縮小。ネット連携による豊富な在庫とリアル店舗の接客サービスのメリットを活かした同社独自のシステム「DIGI-lab」の導入で、売場面積の圧縮を実現できたという。
屋号を変えるという大きな変化の裏に、どのようないきさつがあったのか。
OMO型店舗として生まれ変わった
SUIT SQUARE TOKYO GINZA店では、大きく3つの取り組みをはじめている。一つ目は買い物をサポートするタッチサイネージ「スマートバー」の導入だ。
各コーナーに連動したアイテムのランキングや、スタッフコーディネートなどのデジタルコンテンツを配信。タッチ式のサイネージでリアルタイムで最新情報が確認できる仕様。来店客は自由に操作できるようにした。店頭では20〜30代の若い層を中心にサイネージを操作する姿が見られた。
二つ目は骨格診断サービスだ。骨格診断とは、体型に関係なく、生まれ持った体の特徴から似合う服のデザインや素材・サイズ感を導き出す診断のこと。同店では、プロの骨格診断士による骨格スタイル分析と、それぞれの骨格に似合う店内商品のアドバイスを無料で実施する。「骨格診断を受けた利用客が、アドバイスを基に商品の購入につながるケースが目立っている」。同社の営業副部長の今井康友氏は手ごたえを語る(骨格診断士は常駐ではなく、現時点では不定期開催の形式をとっている)。
三つ目はサステナブルを意識した店舗づくりだ。オーダーコーナーのテーブルや壁面什器に、音楽家の坂本龍一氏が創立した森林保全団体の中で産出された、国産木材を同社で初めて設置した。青山商事はこれまでもモア・トゥリーズの取り組みに賛同し、支援を続けており、今後はサステナブルを意識した店舗作りも進める。
コロナ禍を契機に消費者がスーツを購入するマインドも変化している。出社頻度が減ったことでスーツの必要着数は減り、その代わりに一着一着のスーツの品質にこだわる客層が増え始めた。4つのブランドを一店舗に集約したことにより、これまで同社の高価格帯ブランドに触れてこなかった層にも接点が生まれ、購買単価の向上につながっているという。
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