「ポケカ投資」ブームで最高益 “造幣局”と化したポケモンが、高額転売に取るべき「金融政策」とは:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
「ポケモンカード」が投資対象として注目されており、中には数百万円、数億円の値段がついたものまで存在する。“ポケカ造幣局”というあだ名までついた株式会社ポケモンは、高額転売の現状にどんな「金融政策」を取るべきだろうか
株式会社ポケモンが2023年2月期の決算で、前期に引き続き過去最高業績を更新したことが明らかになった。同社の売上高は前期比14%増の2345億円、営業利益が11%増の666 億円となっている。
一見、このような2桁増収・増益という成長率は一般的な上場企業でも珍しくないと思われるだろう。しかし、前期の業績もあわせて確認すると一味違う景色が見えてくる。
同社における前22年2月期決算は、前々期である21年2月期と対比して約1.7倍の2042億円となり、営業利益も約2.2倍の622億円という急成長を遂げていた。一般的に、一気に売り上げと利益が伸びた翌年の決算はその反動で減収・減益に陥るケースも多い。しかし、ポケモンは前年の高いハードルをさらに飛び越えて2桁増収・増益を達成している点で特筆すべきだ。
「ポケカ投資」ブームが後押し、副作用も
ポケモンは設立26期目となり、4半世紀の歴史を持つ企業だが、ここにきて新興企業も目を見張るような成長ぶりをみせている。その背景には2000万本越えの大ヒットとなった「ポケモンSV(スカーレット・バイオレット)」や、大幅に進行した円安による為替差益も貢献したとみられるが、その中でも特に決算に影響を与えているとみられるのが、同社のカードゲーム「ポケモンカード」であろう。
ポケモンカードは、発売から22年が経過した2018年ごろからにわかに注目を集め、コロナ禍以降は収集だけでなく投資対象としての側面が強まっていた。特に、美少女のキャラクターカードや黎明期に発行された希少カードの価格が急騰する現象がみられており、中には数百万円、数億円の値段がついたものまで存在する。
そんなポケモンカード投資の流れもあって、いわゆる「ポケカ投資家」たちがレアカードを仕入れるためにポケモンカードのBOXを買い占め、市場に流通するカードが減少し、ポケモンカードショップの相場が上がる……という減少が発生し、ちまたでは転売や窃盗事件が増加するなど半ば社会問題化しつつある状況だ。
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