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「謝り続けた」「上司は取り合ってくれない」──危険なカスハラ対応が招くもの:働き方の「今」を知る(1/3 ページ)
悪質なクレーマーによるカスタマーハラスメント(カスハラ)に悩む企業が後を絶たない。「お客さまは神様」という意識が浸透するあまり見過ごされてきたカスハラだが、放置すると大きなリスクをはらむことになる。その理由はというと……。
5月10日、東京・大田区の自宅敷地内で、中学1年生の男子生徒が刺された事件が発生した。犯人は現行犯で逮捕され、男子生徒も幸い命に別条はなかったが、衝撃的だったのはこの事件が「悪質クレーマーによるカスタマーハラスメント(カスハラ)」の延長線上で発生したということだ。
報道によると、犯人は男子生徒の父親が勤務する店の客だった。彼は頻繁に店を訪れていたが、100万円超の高額な買い物をしたことを契機に、被害生徒の父親に対して横柄な態度をとり始めたという。父親はそれでも真摯に対応していたようだが、父親が不在の際には他の従業員に「なんでいないんだ!」と怒鳴り、父親の自宅にまで押し掛けて恫喝(どうかつ)するなど、カスタマーハラスメント行為を繰り返していたようだ。
犯人にとっては、思い通りにならない父親に対して我を通すにあたり、直接口頭で伝えても埒(らち)が明かないと考え、非力な男子生徒を狙ったのかもしれない。ただ、発生したことはもはや殺人未遂であり、カスハラという言葉でさえ包摂できないショッキングな事態だ。
これに対し、世間では「もはや『お客さまは神様』なんて時代じゃないのに……」「カスハラに対する法整備と厳罰化を強く望む」「お店側も従業員を守る対策をしてほしい」といった怒りと懸念の声が多く見られた。
「長時間同じ内容を繰り返し……」 増え続けるカスハラの実態
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