スズキ、ダイハツ、トヨタが軽商用EVを共同開発! 驚きのニュースが飛び出た背景:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(3/3 ページ)
ほとんどの自動車メーカーがEVを発売しています。ところが、その売れ行きはなかなかに厳しく、現状、日本でEVはさっぱり売れていません。一方で、EVが有望なジャンルも存在します。
街中の配送系はEV化が一気に進行する可能性も
さらに先だって5月17日には、「スズキ、ダイハツ、トヨタ、商用軽バン電気自動車を公開」との驚きのニュースも飛び出しました。これはスズキ、ダイハツ、トヨタの3社で軽商用EVを共同開発し、23年度内に市販するというもの。車両はダイハツの軽商用バンがベースになっており、生産もダイハツが担当します。
気が付けば、24年になれば三菱自動車、ホンダ、スズキ、ダイハツ、トヨタから、軽の商用EVが販売されることになります。
ちなみに乗用車のEV導入のハードルとなっているのが、車両価格の高さと、航続距離の短さです。ところが、街中の一定エリアの配送業務であれば、航続距離の少なさは問題となりません。1日で走る距離は、数十キロという範囲で済むそうで、搭載するバッテリーも少なくて済みます。EVが高額になる理由はバッテリーにありますから、そのバッテリーが少なければ、車両価格の高騰も防げます。実際のところ軽商用EVは、補助金を使えば200万円以下で購入できます。
つまり、商用のEVが欲しい人がいて、それを供給する人がいる。しかも、価格もむやみに高いわけではない。それが24年の日本の状況となるわけです。そういう意味で、来年以降、街中の配送系はEV化が一気に進行する可能性は大。EV化はビジネスシーン、つまり仕事で使う人から普及するのではないでしょうか。
筆者プロフィール:鈴木ケンイチ
1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。
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