相次ぐスマホ日本勢の撤退 どうすれば生き残れたのか(2/3 ページ)
元富士通のスマホメーカー「FCNT」が民事再生法を申請。スマホ市場から日本勢の撤退が相次ぐ中、大きな話題となっている。果たして生き残れる道はあったのか、筆者の視点から業界の動きを振り返ってみた。
一方、キャリアは販売やサポートの現場でユーザーと接することで、ニーズや買い替え需要を熟知しています。そこから生まれる端末ラインアップは日本のスマホ市場そのものといえるもので、端末メーカーにとってはここに食い込むことが何より重要です。
SNS上では不評のバルミューダも、ソフトバンクによる採用が決まった時点で、ビジネス的には一定の成功を収めたといえます。材料費高騰のように想定外の事態がなければ、「第2弾」がネットを騒がせていたはずです。
もし仕入れた端末が売れなければキャリアは在庫を抱えることになりますが、「1円」販売のように大きな値引きをすればたいていの機種は捌けてしまうので、大きな問題にはなりませんでした。
スマホのユーザー層が広がるにつれ、最新の端末を発売日に手に入れたいという人ばかりではなく、「1円になるまで待つ」人が増えていきました。販売店にとっても1円端末は集客に欠かせない存在のようです。
ところが2019年10月、回線契約とセットの場合、割引の上限が2万円に規制されました。値引きをやめさせるのは一見すると不合理に感じるところですが、ここでは値引きの原資が通信料金だったことが問題視されました。
このままでは端末を頻繁に買い替える人ばかりが得をして不公平であること、また通信料金の高止まりを招くことで結局は消費者に不利益が生じるというロジックです。
その後は端末価格自体を値引きする手法が横行したものの、基本的には値引きを規制するとキャリアが在庫をさばく能力は下がります。その結果、調達台数はシビアになり、端末メーカーは苦しくなります。
しかし多くの消費者は変わらず「1円」を求めています。そこで値引きの上限が2万円であることを前提に、スケールメリットで競い合うコスパ競争が本格化しました。
FCNTの場合、2021年には中国メーカーのODMを活用した「arrows We」が、3キャリアによる採用を実現。出荷台数100万台という成果を挙げたものの、その後の半導体不足や2022年の急激な円安にはあらがえなかった感があります。
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