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10年の海外赴任で業績をV字回復 味の素CEOが人材投資に力を注ぐ理由黒字化請負人に聞く(1/3 ページ)

味の素、藤江太郎CEOの豊富な海外経験から人材投資の重要性、持ち株を支給した狙いに迫る。

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 人的資本経営の先進事例として挙げられるのが味の素だ。同社は2022年4月にCEOに就任した藤江太郎氏の下、社会価値と経済価値を共創するASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)経営に取り組んでいる。

 1985年に入社した藤江氏は2008年に中国食品事業部長、11年にフィリピン味の素社社長、15年にブラジル味の素社社長と約10年に渡り、海外支社で低迷していた業績をV字回復させてきた“黒字化請負人”だ。

 味の素CEOに就任してからは、新たに「中期ASV経営 2030ロードマップ」を掲げ、23年3月期(22年度)連結決算では、売上高1兆3591億円(前年度比18.2%増)と、過去最高を記録した。

 藤江氏は、今後も成長を続ける上で人材への投資が欠かせないとみている。6月には持ち株会に加入する国内従業員に自社株100株を支給した。

 前編ではASV経営が目指す「アミノサイエンスを通じて人々の健康や社会の福祉に貢献すること」を達成するために、人材や技術、顧客などの無形資産が重要な役割を果たすという考え方を聞いた。後編では、藤江氏の豊富な海外経験から人材投資の重要性、持ち株を支給した狙いに迫る。

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藤江太郎(ふじえ たろう) 1961年生まれ。京都大学農学部卒業後、1985年に味の素入社。中国食品事業部長やフィリピン味の素社長、ブラジル味の素社長など10年以上の海外勤務を経て2017年に常務執行役員、22年4月に社長就任(撮影:乃木章)

将来ありたい姿は「野心的で挑戦的」に

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