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「電動キックボード」の問題は何か メリットとリスクを考える池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

7月1日から、電動キックボードの新ルールが適用された。最寄駅からのラストワンマイルを快適に移動する新たなモビリティとして期待されているが……。

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新規制における最大の問題

 筆者から見て、今回の新規制において、最大の問題は速度上限が高すぎることだと思われる。見た目でも分かる通り、電動キックボードの小さい前輪は段差に極端に弱い。ホンダ・モンキーなどの例外的車種を別にすれば、第1種原付に該当するスクーターのホイールサイズはおおむね10インチ。しかも段差の衝撃を吸収するサスペンションが付いている。

 電動キックボードのスペックを見ると“タイヤサイズ”10インチと表記されている。だがどう見てもスクーターと同じ車輪径には見えない。電動キックボードのシェアリング最大手であるLuupに問い合わせてみたところ、この10インチはタイヤ外径であって、ホイールサイズではない。


Luupの電動キックボード(出典:プレスリリース)

 タイヤの厚みを引いた径がホイール径になるわけだが、ここのスペックは正確には分からない。おそらくタイヤの厚みは1インチ程度はあるはずなので、ホイール径にすれば8インチかそれ未満ということになるはずだ。

 電動キックボードには、サスペンションがないか、あっても十分なストロークとは言えないケースがほとんどな上に、ホイールベースが短い。運転時の総重量の多くが人体の重量であることを前提にすれば、段差はもちろん、急減速時に適正な重心移動ができなければ、最悪の場合前輪を軸に車両ごと前転してしまう。

 一般にサドルやシートがないぶん体勢を崩しやすいことを考えると、もしものときに体重の多くがハンドルにかかり前転のモーメントを作り出しやすいからだ。

 だからこそ速度の上限は抑制的であるべきだと思っている。ここで速度上限の話をするのは、速度が上がると運動エネルギーはその二乗で大きくなるので、コントロールが難しいからだ。

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