戦略を実現できないワケは「現場の納得度の低さ」 どう手を打つべきか?:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾(2/3 ページ)
良い戦略を実行を移す際に課題の一つに「現場の納得感の低さ」があります。戦略を実行する「現場の人々」の納得感を上げるためにはどのような対策が必要でしょうか?
売り上げの方程式、コントロールできる要因は?
売り上げは、下記の方程式で示すことができます。
売り上げには、トライアル売り上げとリピート売り上げの2つしかありません。トライアル売り上げは「買う前に買いたいと思わせるコンセプト力」に依存し、リピート売り上げは「買った後にまた買いたいと思わせるパフォーマンス力」に依存します。
トライアル売り上げは大規模な広告宣伝などによって半強制的に増やせますが、リピート売り上げは「商品やサービスそのもの」が良くないと、継続的に購入してもらえません。これがマーケティングコミュニケーションだけで売り上げをつくることができない所以です。
トライアル売り上げは、人口×認知率×想起率×購入率×購入個数×購入単価で表されます。あなたも一度計算機を持って自身の担当商品の計算をしてみてください。驚くほど「だいたい当たっている」と思います(だから方程式なのですが)。
ポイントは、図内でグレー色になっている「人口」と「購入個数」は自社ではアンコントローラブルであることです。自社単独の努力によって人口は増やせませんし、購入個数も増やせません。トライアル売り上げを増やすために企業ができる努力(コントロール可能な変数)は、認知率、想起率、購入率、購入単価を上げることだけです。このうち、購入単価は(メーカー希望小売価格を定めることはできますが)需要や競合状況によって変わりますし、最終的な価格決定権は小売側が持つため、完全にコントローラブルではありません。だから認知率、想起率、購入率を上げることが重要なのです。
リピート売り上げは、トライアル客数×再想起率×継続購入率×購入個数×購入頻度×購入単価で表されます。トライアル売り上げ同様、例外を除いて需要は一定なので、購入個数と購入頻度はコントロールできません。そのため、リピート売り上げを増やすためには、トライアル客数を増やすこと、再想起性を高めること(日常生活の中で思い出してもらえる確率を高めること)、継続購入率を高めることが重要となります。継続購入率はパフォーマンス評価(購入後の満足度)に大きく依存するため、リピート売り上げを増やしたいのなら顧客が(競合製品よりも)満足する商品力が最も重要となります。
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