「モンハン×位置ゲーム」 “ひと狩り75秒”に込めた意図:試行錯誤(2/2 ページ)
米Nianticは9月14日、「Monster Hunter Now」を正式リリースした。同作はどのような経緯で開発されたのか。チーフプロダクトオフィサーの河合敬一氏と、シニアディレクターの野村達雄氏に聞いた。
「ひと狩り」にかける時間調整の難しさ
「初期の企画書を見返すと、『ひと狩り』の想定時間は3分としていました。しかし実際に外でテストしてみると大変長い時間であることが分かります。
試行錯誤を重ねた上で、現在の『最長75秒』に落ち着きました。モンハンNowの開発は外に出て実際にやってみないと分からないことが多いので、開発期間の約4年間、テストは常に外に出て行っていました」(野村氏)
スマホゲームという土俵では、ライバルはニュースアプリやSNSになる。例えば信号待ちのふとした瞬間といった、スキマ時間におけるユーザーのアテンションをいかに集めるかが重要だ。
狩りの時間はもちろん、読み込み時間や、シーンの切り替わりにかかる時間が長ければプレイヤーのストレスにつながり、ゲームからの離脱に直結する。そのため、こういったシーンにかかる時間をコンマ秒単位で短縮することにもこだわったという。
同作のターゲットはモンハン経験者に限らず、幅広い層を想定している。4月から開始していたベータテストでは、日本以外にも欧米、東南アジアなど世界中からユーザーが集まり、グローバルな盛り上がりが生まれていると河合氏は話す。こうした幅広い国、年齢層から支持されるゲームづくりにおいて、重要視したのは「間口の広さ」と「やりこみ要素」の融合だ。
モンハンNowは片手でも遊べるよう、操作はタップとフリックなどのシンプルな仕様にまとめている。一方で、モンハンならではのアクション性と緊張感のある駆け引きの楽しさを損なわないよう、プレイングが上達したことを感じられるようにデザインしているという。開発にあたって、ある社員の全くゲームをやったことがないという家族に毎週プレイしてもらうこともあったという。
「モンハン自体は知ってはいたもののやったことがない人、興味はあったものの普段ゲームをやる習慣がなかった人はかなり多いはずです。こういった層に楽しんでもらえるように、間口を広くつくっています。ゲームを多くの層に届けることはとても大事にしており、その力は日本で一番だと自負しています。ただし、それだけでは終わらない『深さ』、技量を極める楽しさを本作に込めました」(河合氏)
人気ゲームタイトルとNianticのコラボとして注目集まるモンハンNow。どこまでユーザー数を拡大できるか。
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