既存顧客に依存してない? 新規開拓できる営業マンが育つ組織に変える、3つのアクション(1/3 ページ)
新規顧客を作らなければいけないと分かってはいるが、つい目の前の既存顧客にばかり時間を割いてしまう……。こういった悩みを抱える営業パーソンは多いのではないか。今回は新規開拓できる営業マンが育つ組織に変える、3つのアクションを紹介する。
著者紹介:磯江 怜
株式会社ウィルオブ・ワーク セールスアシスト事業部 セールスソリューション営業部 部長。BtoB特化の営業代行サービス「セイヤク」の責任者として、営業に課題を抱える企業に対して営業支援を実施。全国で約60件以上の営業支援プロジェクト運営と約400人以上の営業スペシャリスト組織をマネジメント。
新規顧客を作らなければいけないと分かってはいるが、つい目の前の既存顧客にばかり時間を割いてしまう……。こういった悩みを抱える営業パーソンは多いのではないでしょうか。
私も幾度となく同じような感覚に陥ったことがありました。その発生要因は何なのかを考える上で面白い法則があります。マーケティングにおける「1:5の法則」はご存じでしょうか。新規のお客さまに向けて販売することは、既存顧客の5倍コストがかかるという法則です。
つまり、新規顧客への営業は、時間も労力もかかる割にはすぐ結果につながらず、徒労感が半端ではないのです。営業パーソンとして、会社から求められる実績を出すためには既存客に頼らざるを得なくなり、時間と労力がかかる新規営業が止まってしまう――という悪循環が、これまで多くの新規営業への挑戦を阻害してきました。
これは営業に限った話ではありません。著者はお笑いが好きで好きで、自分でも漫才をしていた頃もあるのですが、手っ取り早くウケたい場合は鉄板ネタを披露するのが早いのです。新ネタは本当に労力がかかります。ネタを考え、相方と何度も練習をし、実際に知人や友人に見せてリアクションを見ながら微修正をし、それでも本番でウケるか保証はありません。
しかし、想像にたやすく、同じネタを繰り返している芸人に未来はありません。
「既存顧客への依存」 4つのリスク
そもそも、既存顧客に依存することは悪いことなのでしょうか?
先述した「1:5の法則」は、むしろ新規顧客より既存顧客へ注力することを重要視している考え方です。「既存顧客への注力」を重要な仕事だと捉えるか、リスクだと捉えるかは、顧客の状況や、自社の状態、目標や予算への進捗など、それぞれの組織に隠れている前提によって変わります。
本記事においては「既存顧客への注力」を軽視するものではなく、あくまで「既存顧客への依存」がもたらすリスクを考えるという視点で読み進めてもらえると幸いです。
さて、既存顧客への依存がもたらすリスクには、どのようなものがあるのでしょうか?
既存顧客へ依存することには、以下のように多くのリスクが存在します。既存顧客に注力していることと、依存していることとは、境界線があいまいな割に大きく意味が異なります。
- 収益の一極集中
- 競争力の低下
- 市場変化への適応困難
- 成長の制約
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