「怪しげなアプリ」も今や昔 ペアーズが「自治体の少子化対策」になるまで:歴史あり(2/2 ページ)
ペアーズは9月1日から、マッチングアプリとしては業界初のテレビCMの放送を開始している。一時期は「出会い系アプリ」として怪しい存在と見なされることもあったマッチングアプリは、いかにして市民権を獲得していったのだろうか。
自治体との連携を進める狙い
ペアーズは、同サービスの現在地を「浸透期」と位置付ける。そのため、これまでの広告ではリーチしきれなかった地方のユーザーにも利用を促進すべく、自治体との連携を進めている。
自治体と連携した取り組みとして、地域住民へセミナーを開催しペアーズに触れてもらい、ユーザーの拡大とパートナーとの出会いを支援している。宮崎市では地元企業も参画し、従業員への利用を促しているという。
「これまで地方はユーザーが少なかったのですが、現在は裾野が広がり、地方でも十分に使えるアプリとして環境が整いつつあります。地方自治体に話を聞くと、どこも少子化、未婚化、人口減少が課題のトップに挙がります。私たちは『本命の相手』を探すプロセスを支援し、こうした課題解決へ貢献したいと思っています」
結婚の意思がありながら婚活をしていない人の割合は高い。エウレカの調査によると、交際相手を求めている独身者は6割を超えている一方で、交際相手を積極的に探す活動をしているのは13%にとどまる。こうした「交際相手を求めているが活動していない(活動できていない)」層へ、ペアーズが訴求できる余地は十分にあるというわけだ。
未婚化が進む要因には、かつてあった「結婚への周囲の後押し」が減少してきている事実もある。
「昔の日本は独身者に対して、親や地域が婚活を促したり、お見合いを取り持ったりなど、結婚に向けたある種の『圧』がありました。現代は圧という形ではなく、自治体から出会い促進に向けた空気をつくっていくことが大切になると考えています」
コロナ禍を経て市民権を得たマッチングアプリ。テレビCMの放映はその象徴ともいえる。人口減少が課題となる日本で、その解消に向けた糸口となりえるか。
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