氾濫する「販促どまり」マーケティング ”売れ続ける”をつくる競争力の磨き方:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾(2/4 ページ)
マーケティングの目的は消費者に買ってもらうことです。にもかかわらず、短期的な成果を追いすぎて中長期的な競争力がそがれてしまっている事象が頻発しています。マーケティングROIを高い状態に保ち、植え続ける状態をつくるためにはどうすべきでしょうか?
フロー施策とストック施策の使い分け
獲得型の広告を打てば売り上げは増えます。しかしひとたび広告の出稿を止めれば獲得売り上げはゼロになる。これは施策が持つ「強いフロー性」を表しています。フローの施策が悪いわけではありませんが、「予算を投下した瞬間から成果が出て、予算の投下を止めた瞬間に成果がなくなる」という費用的な施策特性があるということです。
一方で、ターゲット顧客に商品を知ってもらう、興味を持ってもらう、特徴を理解してもらう、好きになってもらう、信頼をしてもらうことなどを通して「欲しい」「買いたい」「行きたい」と思ってもらう活動もあります。今すぐに買わない顧客でも「いつか買うならこの商品を買いたい」「タイミングがきたときに購入を検討したい」「いつか行ってみたい」と思ってもらうストック性のある投資的なコミュニケーション施策もあります。
今年度の売り上げ目標を達成することは重要です。しかし、経営や事業は来年も再来年もずっと続くのです。単年度のマーケティング効率(ROMC:Return on Marketing Cost)だけを追い求め、CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)やROAS(広告の費用対効果)を重視しすぎると、逆に中長期的なROMI(Return on Marketing Investment)を低下させてしまうことにつながりかねません。
「いますぐ客」と「そのうち客」で施策は変わる
いま、あなたの商品カテゴリーの購入を検討している顧客を「いますぐ客」、現在は具体的な購入を検討しているわけではない顧客を「そのうち客」と呼びます。
1ヶ月に複数回購入する最寄品(=一般消費財)は「いますぐ客」が大半ですが、年に数回購入するアパレルや化粧品、数年に1回購入する家電や電子機器、自動車、損害保険、家具、レジャー施設、旅行先、ホテルや旅館、そして一生に数回しか購入しない生命保険や住宅などは「ごく一部のいますぐ客」と「その数倍の大きさのそのうち客」によって構成されています。
「いますぐ客」は、あなたが所属する会社の決算期における「今期中に商品を買ってくれる可能性があるニーズ顕在層」、「そのうち客」は「今期は買ってくれなそうだが、来期以降(数年以内)に買ってくれそうなニーズ潜在層」と定義すると分かりやすいでしょう。
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