「今何してる?」束縛系上司がどんどん時代遅れになるワケ:働き方の見取り図(2/4 ページ)
人口減少が進み、職場環境も大きな変容を遂げている。経営者や管理職はこれからの会社組織を率いていくために、どんなマネジメントが求められるのか。
職場で起きた「3つの崩壊」
これら大きな変化が同時に進み絡み合うことで、経営者や管理職などのマネジメント層がこれまで認識してきた職場環境の土台は、根底からひっくり返りつつあります。これから会社組織をマネジメントする上で特にポイントとして押さえておくべきは、職場認識の前提に関わる「3つの崩壊」です。
まず、“社員は休まない”という前提が崩れました。法制度の改正で有給の取得が義務化され、男性の育休取得も促進されるようになる一方で、性別による決めつけの壁も徐々に壊れてきました。“男性は仕事一筋”といった認識は成立しなくなり、社員は性別を問わず誰もが休むようになっています。
“社員は休まない”認識が前提だと、フル出勤をベースにして業務体制が組まれます。すると、例えば年間10日発生した有給を全て取得した社員の場合、業務に10日も穴をあけることになります。
その分の業務は、同じく休まないことが前提となっている他の社員へのしわ寄せになってしまい、他社員からは快く思われず、上司からは「また休むのか」などと嫌味を言われてしまうなど、休む側は気が引けます。結果、休みがとりづらい雰囲気が職場に蔓延することとなります。
しかし、これからの職場は“社員は休む”ことが前提です。“社員は休む”前提だと、上司は有給取得などをあらかじめ織り込んで業務量やカバー体制を設計しなければなりません。すると、有給取得日数が想定より少なければ、逆に人員にゆとりが生まれることになります。社員はお互いが休むことを前提に業務をこなしているので、休みを快く思わないような雰囲気も薄れます。
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