「今何してる?」束縛系上司がどんどん時代遅れになるワケ:働き方の見取り図(1/4 ページ)
人口減少が進み、職場環境も大きな変容を遂げている。経営者や管理職はこれからの会社組織を率いていくために、どんなマネジメントが求められるのか。
「オフィスで仕事? それとも今日は家?」
出社でも在宅でも、社員の意思に任せて働ける業務体制や制度が整う職場では、ビデオ会議などでそんな会話が交わされることがあります。コロナ禍を機にテレワークが一気に広がるまでは、耳にすることのなかったやりとりです。
今、職場を取り巻く環境には地殻変動とも言うべき大きな変化が起きています。
総務省によると2023年1月1日現在の日本の人口は1億2242万3038人。前年比マイナス80万523人と、1年で山梨県の人口に匹敵する数が減少したことになります。増え続けてきた人口は、09年をピークに減少に転じ、出生数は毎年過去最少を更新。人口は今後も減り続けると予測され、絶対数が少ない中で採用活動はより厳しさを増していきそうです。
職場環境を巡る変化は多方面で進んでいます。経営者や管理職はこれからの会社組織を率いていくために、どんなマネジメントが求められるのでしょうか。
著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ4万人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。
現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。
働く環境はどう変わってきているのか
まずは職場環境に影響を与えた大きな変化を見ていきましょう。1つは法改正です。18年に成立した働き方改革関連法では、強制的に労働時間を減らす法改正が行われました。
まず、時間外労働の上限規制。労使が合意していた場合は上限なしだった残業時間に、年720時間などの上限が設けられました。24年には、適用が5年間猶予されていた医師や建設、物流ドライバーなども対象となります。
また、年次有給休暇の取得義務化も施行されました。全ての職場で、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、有給の日数のうち年5日について、使用者が時季を指定して取得させることが必須となっています。
テクノロジーの発展も大きな変化です。インターネットが生活インフラとして社会に浸透し、スマートフォンがあればいつどこからでもサイバー空間とつながれます。就業場所にこだわらずにできる仕事や、ビデオ会議システムの利用は、今や当たり前となりました。接客や機材運びでも、ロボットなどを遠隔操作することで、離れた場所にいながら携われる事例もあります。テクノロジーの発展で移動に時間を費やすという概念がなくなると、職場環境が三次元から四次元化したようなインパクトが生じます。
働き手の意識も大きく変化しています。男性は仕事、女性は家庭といった性別による決めつけの壁は徐々に壊されています。また、新卒1年目から転職サービスに登録したり、リスキリングに取り組んだり、職業人生を会社任せにせず、働き手が主体的にデザインしていくキャリア自律の意識も芽生えてきています。
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