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本当の「消費」といえるのか? 大手百貨店の増収増益を手放しで賞賛できないワケ:小売・流通アナリストの視点(3/4 ページ)
物価上昇に多くの消費者が苦労している一方、好調を報じられているのが百貨店業界だ。長年、売り上げの右肩下がりが続き、構造不況業種ともいわれていた上に、コロナ禍で甚大なダメージを受けた百貨店業界。本当に回復期を迎えているのか、その現状を見てみよう。
高額品消費は「消費」なのか?
しかし、今の百貨店売上を支える高額品消費は、純然たる「消費」(財・サービスを消耗する、使ってしまうの意)とはちょっと違うのではないか、と個人的に思っている。
例えば、よく売れていると聞く高級時計だが、これは身に着けるためやコレクションとして売れている、だけではない。何かに「使用するため」ではなく、金融商品以外の「投資」として買われているという面も大きいのだ。
高級時計を買えば「消費」して金融資産ではなくなるが、再販売マーケットが成立しているため、換金性が極めて高い「資産」であり、かつ買取価格も上昇傾向にあるという。これは消費というより、投資という性格のお金の使い道なのである。
貴金属、宝飾品などに関してもほぼ同じといえる。低金利時代に安定して価値が上がる投資対象を選ぶのは難しいが、そうした中でも伝統的な「金」への投資は根強い人気があるというのはご存じだろう。特に有事には強いという経験則もあり、ウクライナ、パレスチナなど世界各地で武力衝突などが起きている今、金の相場は上昇が続いている(図表7)。
百貨店における金関連製品の販売が好調なのも、こうした金の投資環境が背景にある。金製品は金の延べ棒そのものを売るばかりではなく、金の彫刻品や装飾品、金細工品などが多種多様に売られている。
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