ITサービスの値上げラッシュ それでも顧客が離れない「米国流・営業スタイル」(2/3 ページ)
ITサービスが相次いで値上げに踏み切っている。顧客の財布のひもは固くなるだろう。米国ではCFOがサービス解約を主導するような状況だ。営業の難易度は上がるが、生き残るために米国で浸透してきている「新しい営業スタイル」について解説する。
営業スタイルの刷新だけでは、不況期は乗り切れない
不況下でも売れ続けるためには、営業スタイルの刷新だけでなく、そもそもの製品価値も高める必要がある。結果にコミットできる製品に改良していくのだ。
これは営業というよりは、プロダクトマネジメントやカスタマーサクセスの話となる。しかし、売り上げに向き合うには不可欠な観点だ。なぜなら、当たり前だが、売れる製品とは「効果の出る製品」であるからだ。効果が出なければ、どんなに営業がプレゼンテーションをしても契約につながらない。ここで、顧客の期待効果を的確に捉えた製品開発の重要性が見えてくる。
営業に強い企業といえばキーエンスが有名だが、実は営業の仕組みと同じくらい製品開発に注力している。高い単価の製品とするなら、相応の価値が出る圧倒的な製品にしないといけない。キーエンスも製品は高い。しかし、その分価値があるから買われるのだ。
不況とは、提供価値に求められるハードルが上がることでもある。そのため、営業数値の未達は、営業要因でなく製品要因を疑うこともしたほうが良い。売り上げを上げるには営業だけでなく製品も等しく重要なのだ。
B2B取引において、価値ある製品に向き合うことは「売り上げ」か「コスト」の定量的な改善効果にこだわることを意味する。売り上げが出る、コストが下がるなら、その余剰分を考慮した合理的な価格設計ができる。仮に、導入後に売り上げが1億円上がるなら、5000万円の値付けをしてもおかしくない。営業に効くか、人件費などのコスト削減に効くか、明確に目標を置いて、製品開発にこだわることも不況期のアクションとして必要だろう。
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