2024年春ダイヤ改正、どうなる首都圏の通勤事情:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)
3月16日、2024年のJRダイヤ改正が行われる。最大のトピックは北陸新幹線の金沢〜敦賀間延伸開業だ。運賃制度にも変更がある。今回はJR東日本のダイヤ改正を中心に、首都圏の通勤通学環境の変化を見ていこう。
千葉→東京 快速の各駅停車化で自治体猛反発
千葉方面から東京方面に「座れる通勤電車」が増える。
総武本線系統の通勤時間帯の特急「しおさい」は3本から4本に増便だ。成東駅6時52分発、東京駅7時43分着の「しおさい4号」を新設する。現在の「しおさい4号」は佐倉駅7時4分発、東京駅8時00分着で、これは「しおさい6号」として継続する。現在の「しおさい6号」も「しおさい8号」として継続する。「しおさい2号」もそのまま。「しおさい」は全列車が船橋駅に停車する。
京葉線系統も通勤時間帯の特急「わかしお」を3本から4本に増便する。茂原駅6時44分発、東京駅8時25分着の「わかしお4号」を新設する。現在の「わかしお4号」は「わかしお6号」として、現在の「わかしお6号」も「わかしお8号」として継続する。「わかしお2号」もそのまま。
その京葉線系統で、日中を除いて「通勤快速」と「快速」が各駅停車に「格下げ」される。これが千葉市、千葉県、外房線沿線自治体、内房線沿線自治体に反発された。朝の通勤時間帯を見ると、各駅停車になる列車は以下の6本。
- 上総一ノ宮駅6時8分発(外房線)→蘇我駅6時42分発→新木場駅7時17分着→東京駅7時25分着
- 君津駅6時12分発(内房線)→蘇我駅6時51分発→新木場駅7時28分着→東京駅7時36分着
- 成東駅6時51発(東金線・外房線)→蘇我駅7時44分発→新木場駅8時16分着→東京駅8時26分着
- 勝浦駅6時25発(外房線)→蘇我駅7時44分発→新木場駅8時16分着→東京駅8時26分着
- 成東駅6時51発(東金線)→(誉田駅で上の列車に連結)
- 上総湊駅6時12分発(内房線)→蘇我駅7時58分発→新木場駅8時30分着→東京駅8時39分着
- 蘇我駅8時53分発→新木場駅9時35分着→東京駅9時42分着
すべて「各駅停車に格下げ」で所要時間が延びる。JR東日本千葉支社の報道資料も「各駅停車に変更」としている。しかし一部報道で「廃止」と報じられた。これがまず反感の原因になったと思われる。
次の問題は所要時間の増加だ。京葉線の蘇我〜東京間の通勤快速の所要時間は41分。同区間の各駅停車は約50分だ。貴重な朝の時間に9分の増加となる。ちなみに現在の各駅停車のうち、途中駅で通勤快速を退避する列車は約60分かかっている。快速と通勤快速の各駅停車化によって、いままで退避のため60分かかっていた各駅停車は退避がなくなり、50分になるから10分の短縮になる。
JR東日本としては、通勤快速・快速の利用者の所要時間を増やしてでも、各駅停車の利用客に便宜を図った。急ぐ人は特急を使ってください、総武線快速も増強しますよ、というスタンスだ。しかし、おそらく通勤快速・快速の利用者は地下鉄に連絡する新木場駅や八丁堀駅の利用者ではないか。そうなると特急も総武線快速の振替も関係なく、ただ9分の増加になってしまう。
実は2本の通勤快速の1つが、新設される特急「わかしお4号」の時間帯と重なる。いっそ通勤快速は両方とも特急化し、新木場と八丁堀に停めたほうが良かったかもしれない。
報道では通勤快速がなくなると20分の所要時間増という見方もあるけれど、それは快速列車を待避する各駅停車の話。退避の元となる通勤快速・快速がなくなるわけだから、現在の「退避なし、各駅停車で50分」の列車がほとんどになり、10分の増加が正解。一部特急の退避は発生するけれども、1日数本といったところだ。
外房3市町はさらに過激で、千葉日報によると「外房線沿線住民の利便性を大きく損ない、生活形態を崩壊させ、今後の沿線地域の発展機会も消失させる暴挙」と抗議したという。沿線住民の大多数の利便性は道路とクルマが左右するだろうと思うし、通勤時間10分程度の増加で崩壊してしまう生活形態とは何か、とても考えさせられる内容だった。
反発の声を上げた市町村は、過剰反応している印象を受ける。
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