厚労省の最新の調査によると、労働者1人当たりの年間の有給休暇取得率は平均62.1%(令和5年「就労条件総合調査」)。これは昭和59年以降で過去最高の数字だ。
しかし、日本経済新聞社とJob総研(ライボ)による「2023年 日本人の休み方実態調査」では、38.3%の社会人が「休むことに罪悪感がある」と回答している(「とてもある」「ある」「どちらかといえばある」の合計)。
諸外国と比較しても、日本人は有給休暇の取得率が低い。私たちは、なぜ気持ちよく休むことができないのか? その理由と対策を考えてみたい。
法律という強制力あっての“過去最高”
ここ数年で日本人の有給休暇取得率が伸びているのは、19年の労働基準法改正の影響が大きい。年10日以上の年次有給休暇が与えられている労働者に対し、年5日は必ず取得させることが企業に義務付けられたのだ。
「法律違反になっちゃうから、休んで!」と上司や人事部から言われて休暇を取った、という人も多いのではないだろうか。
働き方改革とともに「有給休暇は労働者の権利。取得に特別な理由などいらない」という理解も広がり、「仕事を休みたいだと? 理由を言え」とか、「そんなことで休むなんて、社会人失格だ」などと理不尽なことを言う上司も減っている。
だから多くの会社では、本人に休む意思があれば休めるはずだ。前述の調査でも、休暇を「とても自由に取れる」(22.1%)、「自由に取れる」(28.2%)、「どちらかと言えば自由に取れる」(34.2%)を合わせて84.5%が「自由に取れる」と答えている。
それでも、多くの人が休むことに罪悪感を感じている。「休んで良い」「休むべき」という建前と、「休むべきでない」「休みづらい」という本音とが綱引きをしているのが、今の日本の働く人たちの状態なのだろう。
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