顧客対応、どこまで自動化できる?
労働力不足は、あらゆる企業にとって喫緊の課題だ。もし顧客対応の自動化ができれば、限られた人的リソースを新規開拓や既存業務の改善などに振り分けて、新たな収益につながるきっかけをつくれるかもしれない。
しかし、自動化による顧客へのサービスの質の低下を恐れて、最初の一歩をためらっている企業も多い。今後、労働力不足がますます深刻化していくのは明らかであり、顧客対応をヒトとAIのハイブリッド型で行い、サービスの質を向上させる必要がある。
また、今の日本は自動化を受け入れやすい土壌ができている。コロナ禍を思い出してほしい。病院での受診やワクチンの接種でも応対する側の人手も足りず、電話を1日中かけても全く通じないという状況に全国民が直面した。あの経験から、従来の電話に固執するのではなく、メールや問い合わせフォーム、チャットボットやボイスボットにつながるほうが良いことを学んだはずだ。
では、顧客対応の中でどの部分を自動化にするべきか。
これを見極めるには、クライアント企業の業種や扱う商材やサービス、業務におけるKPIによっても異なるので一概には言えないが、最も注目すべきは「顧客満足度がどう変化するか」だと考えている。
せっかく自動化を推進しても、顧客の満足が得られなければ意味がない。また、何度も自動化システムの調整が必要になってしまう。顧客満足度を上げられるように自動化を取り入れられれば、これまでの工数を減らせて難易度の高い業務に集中できるほか、人的リソースのコスト削減にもつながる。そのため、顧客満足度をバロメーターとして、いかにして自社に最適な自動化を取り入れていくかが大事になってくる。
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