なぜSFAへの記入漏れは減らないのか 米国企業に学ぶ「使えるSFA」設計:データドリブンな営業への道筋(2/3 ページ)
「SFAの入力が進まない」「SFAをうまく活用できていない」という声が多くの営業組織から聞こえてくる。どうしたら営業担当はSFAに記入してくれて、そのデータを営業活動に活用できるようになるのか? 米国企業が取り入れている方法を解説する。
本当に管理したいアクションだけ入力する
SFA導入が失敗に終わる”あるある”としては「項目作りたくなる病」が挙げられる。SFAでは多くのデータを管理できるので、あれも登録したい、これも管理しようと欲張ってどんどん項目が増えていく。しかし、これは現場の入力負担を増やすことに他ならず、SFAの導入成功確率を下げてしまう。なるべく管理項目を抑えることが重要だ。
SFAの管理項目はさまざまだが、例えば以下などが挙げられる。
- 提案する製品
- プランや単価
- 受注スケジュール
- 営業のネクストアクション
製品、プラン、単価、スケジュール、案件、営業担当者、アクションなどのデータベースがあり、これを更新していくのがSFAだ。
自動入力の話がある一方、重要な項目は意志を持って手動で入力することも必要だ。戦略的に必要な項目だけに集中するのがおすすめの運用方法である。
データは改善するために使うものだ。数値にし、目標に置くことで、該当項目に集中してアクションできるようになる。自社の営業活動を改善していく中で、何に注力するべきかをまずは定めるべきだ。
「注力する新規製品を売れるようにする」「上位プランの契約率を上げる」「平均取引単価を○○円に引き上げる」「○○業界の案件事例を増やす」「新入社員の営業力を高める」など、自社の営業の論点はさまざまだろう。定めるべき注力戦略が先にあり、それを計測・振り返りをするための手段としてデータからKPIを設計し、モニタリングのためにSFAを使う。
これが正しいSFAの導入手順であり、SFAを導入するから営業成績が上がるわけでは決してない。SFAで注力したい戦略に関するデータを計測可能にし、そのために営業アクションのPDCAを回すから営業成績が上がるのだ。改善するためのアクション、施策、投資もセットで考えることがSFA成功の要件となる。
関連記事
- SFAが「レポートツール」になり下がる 使いこなせない営業組織が持っていない視点
日本企業の営業組織でも「セールステック導入」が一般的になってきた。しかし使いこなせていない組織が多いようだ。SFAを導入したのにただのレポートツールに成り下がっている話も聞く。セールステックを効果的に活用するためにはどうすればいいのか、解説する。 - 「電話なんかで営業できるか」 富士通のインサイドセールス、逆風の中でどう成果を出したのか?
日本企業の営業組織が変わり始めている。これまでスタンダードだった「属人営業」は、過去のやり方という認識が強まってきたが、これまでの営業慣習が染みついている大企業では、大きな組織変革やデジタルツールの推進は容易ではない。そんな中でロールモデルとなるのが富士通だ。インサイドセールスチーム誕生により、100件の新規獲得、33件の受注という成果をたたき出した。成果を出す組織をどう作ったのか? - 「営業から買う」は時代遅れ B2Bテック製品の購買ジャーニー、どう変化している?
B2B営業の購買ジャーニーが変化してきている。これまで当たり前だった「営業から買う」というスタイルはすでに時代遅れになりつつある。なぜだろうか? 購買者の変化を踏まえ、今後の営業のあり方を考えてみよう。 - 米国で進む「営業マネジャー」リストラの深層 日本への波及は?
米国で「営業マネジャー」をリストラする企業が増えている。なぜなのだろうか? また、米国の営業トレンドを成長してきた日本にはどのような影響があるのだろうか? - 大手総合商社の営業は「何が」すごいのか? 強い組織であり続ける「3つの特徴」
インターネットの発達に伴い企業間の直接取引が容易になったことで、一時期に商社の存在価値が低下しました。しかし、そのような状況下でも売り上げを伸ばした商社はありました。彼らの営業組織はなぜ強いのか、その秘密を探ってみましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.