“パクリ疑惑”続出のSHEINを、なぜ日本の若者は支持するの? ユニクロが訴訟を起こした根本的理由:磯部孝のアパレル最前線(7/7 ページ)
ユニクロは1月16日、模倣商品の販売停止などを求めて、SHEINブランドを展開する3社を提訴したと発表した。パクリ騒動が後を絶たないSHEINはなぜ、若者に支持され続けているのか。
パクリをなくすために必要なこと
アパレル業界では、過去のアーカイブに着想を得ること自体は珍しいものではない。例えばカーディガンは、1853年のクリミア戦争の時に活躍したカーディガン伯爵が考案したとされる。今季のトレンドとして注目の集まったモヘアニットも、古くは遊牧民たちの間で着られていたもの。それが、1970年代後半のパンクファッションや、ニルヴァーナのカート・コバーンが着用していたスタイルを参考にリバイバルされている。
また、最新機能を搭載した生地や繊維が複数の専門店で併用されるケースもある。ソフトな肌触りで吸水速乾機能を備え、優れたストレッチ性を持った帝人の「SOLOTEX」という機能繊維は、ユナイテッドアローズや洋服の青山、紳士服のAOKI、アルペンなど専門店の垣根を越えて展開されている。
一般消費者からしてみると、模倣商品であるかどうかは判別しにくく、知らず知らずのうちに買ってしまうこともある。こういった事態をなくすためには、アパレル業界が一丸となって、模倣商品に関する情報を一般消費者に訴えていくしかない。そのためには、どこまでが模倣であってどこからが模倣でないのかといった論点を整理する必要がある。そして、業界基準を作成し、広く社会に周知、徹底させていく方法しかない。
いくらアパレル業界が努力しても「安ければ買う」という一般消費者がいることは否定できない。一般消費者の倫理観や意識改革も同時に進めていかなければ、模倣商品に関する問題はなかなか解決できないだろう。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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