「東京オートサロン」はどこまで成長するのか クルマ好きをひき付ける魅力がある:高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)
今年も年明けに東京オートサロンが開催された。カスタムカーの祭典だが、自動車メーカーも積極的に出展し、クルマ好きの心をつかんでいる。環境に配慮した次世代モビリティの提案も増えた。自動車産業を支える一大イベントとして、どこまで成長できるのか。
オートサロンはどこまで成長していくか
今年のオートサロンは、3日間の来場者数が23万人を超えた。10日間開催したジャパンモビリティショーは111万人であったから及ばないが、来年以降、コロナ禍前の水準である30万人規模に復活するのは時間の問題だろう。
自動車メーカーもこれだけ力を入れているイベントであるし、1日あたり10万人規模の来場者であることを考えれば、その影響力を頼りにするのも当然のことだろう。そうなると関心は、「オートサロンは果たして自動車業界の要素をどこまで飲み込めるか」ということになる。
ジャパンモビリティショーを主催する日本自動車工業会の豊田章男前会長は、モビリティショーを隔年ではなく毎年開催にしたいと発言したこともあったが、ある意味東京オートサロンはモビリティショーを補完する存在になりつつある。
モーターショーがモビリティショーと名称を変えたように、クルマを取り巻く環境は急速に変化しつつある。その一方で、本来のクルマが持つ魅力、エンジンパワーによる強烈な加速やコーナリングなどダイナミックな走りのイメージこそ、東京オートサロンの求心力だと言える。
マレーシアでの開催や中国のカスタムカーイベントへの特別後援など、オートサロンブランドの海外展開も進みつつある。クルマ趣味をけん引する、日本の自動車産業界や雑誌業界を支える一大イベントとして、オートサロンはどこまで成長していくのか。楽しみに見ていきたい。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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