約7割「残業時間が減っている実感ない」 なぜ残業するのか、意外なワケも
転職サービスのdodaは「残業」に関する調査を実施した。約7割のビジネスパーソンが「残業時間の削減」に課題を抱えており、なかなか残業時間を減らせないワケも見えてきた。
2023年4月、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、25%から50%に引き上げられた。
24年4月からは、これまで適用が猶予・除外されていた「建設」や「自動車運転」といった事業も対象となるため、これにより発生が懸念される問題が「2024年問題」と称され注目を集めている。法制度が変わりゆく中、ビジネスパーソンの残業時間に変化はあったのだろうか。
転職サービスのdodaを運営するパーソルキャリアが実施した「残業」に関する調査によると、全体の約7割が「残業削減に課題を持っている」と回答した。
直近1年間の「残業時間削減対策の有無」を業種別に見たところ、対策を取っている業界は「運輸・物流」が78.8%と最多だった。「運輸・物流」は、現在残業時間の上限規制の適用猶予を受けており、24年4月から適用が開始されるため、対策を取る企業割合が高まったと考えられる。
個人への時間外労働の割増賃金率の引き上げが始まった23年4月を起点に、「4月以前と以後(12月まで)の残業時間の変化」を調査したところ、約7割が「変わらないと思う」(68.6%)と回答。「減ったと思う」という声は、18.7%にとどまった。
全体における具体的な残業時間について、23年4月以前の平均「月14.8時間」から、4月以降は平均「月14.5時間」と減少。0.3時間削減されているものの、残業時間の減少傾向としては低く推移している。
なぜ残業する? 「残業代を得るため」の声も
残業をする理由1位は「業務が終わらないため」(75.3%)だった。2位は「残業代を得るため」(33.4%)、3位に「より多くの成果を得るため」(28.2%)と続いた。
トップの「業務が終わらないため」は、どの年代においても7割以上が同様の回答をしており、業務量と労働力の不均等さがうかがえる。2位の「残業代を得るため」については、特に20代での回答が多く、全年代で唯一4割超となった。
「残業時間の多さをきっかけに転職を考えるか」と尋ねたところ、55.5%が「考える」(考える:18.9%、やや考える:36.6%)と回答した。年代別に見ると、20代は62.0%(考える:16.5%、やや考える:45.5%)、30代は65.0%(考える:24.5%、やや考える:40.5%)と、特に高い結果となった。
上記の理由としては「体に負担が多いから」「ワークライフバランスが崩れるから」「残業がある会社は人手が足りない。人手が足りない会社は財政が良くないから」などの回答が見られた。
調査は、従業員規模10人以上の企業で働く全国の20〜60代の会社員男女1000人と、人事担当者500人を対象にインターネットで実施した。期間は23年12月28日〜24年1月5日。
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