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宇都宮のライトライン、東側の成功と西側延伸が必要な理由杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)

栃木県宇都宮市と芳賀町にまたがるLRT「ライトライン」が好調だ。路面電車としては75年ぶりの新規開業で、開業から5カ月で予想の1.2倍の約190万人が利用した。4月1日のダイヤ改正で所要時間短縮、通勤通学時間帯の増便、最混雑時間帯の快速運転を実施の予定で、宇都宮駅西口以西の延伸計画も動き出す。

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西側延伸は「観光より通学環境の改革を優先」

 24年2月1日、宇都宮市は市議会全員協議会で西側延伸計画について説明した。宇都宮駅東口から少し北へ上って、JR宇都宮線と東北新幹線の間を通過し、宇都宮駅西口で降りる。その後は大通りを西へ進む。停留所数は12で、終点の「教育会館前停留場」は「宇都宮駅西口」から西へ約4キロメートルの地点になる。実はここまでが宇都宮市による計画区間だ。現在の開業区間は「優先開業区間」だった。計画区間からさらに西へ進み、大谷石で有名な大谷観光地までが「検討区間」である。

 地図を見ると、西側区間は東武宇都宮駅周辺に栃木県庁や宇都宮市役所があり、宇都宮市の中心市街であることも分かる。しかし、これ以外に東側区間のような大きな需要発生地が少ない。検討区間から察するに、大谷観光地までの観光誘客路線に見えるかもしれない。しかし、西側にこそライトラインが必要な理由がある。沿線には学校がたくさんあり、通学需要が見込まれるからだ。計画区間の終点を「教育会館前停留場」までの沿線に、15以上の高校と私立中学がある。

 私が宇都宮に1泊した翌朝、宇都宮駅西口バス乗り場は学生や生徒が長い列をつくり、屋根のない歩道橋の上まで続いていた。その日は小雪がちらつくほど寒かった。親御さんはこの状況をご存じだろうか。私は親ではないけれども、この状況は解決してあげたいと思った。


西側区間で検討中の停留場と周辺の高校、大学、専門学校など(地理院地図を筆者加工)

朝の宇都宮駅西口は学生や生徒たちが長い行列をつくる(筆者撮影)

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