ファミマの「服」は実際どうなのか ユニクロやワークマンと比較して見えた“矛盾点”:磯部孝のアパレル最前線(2/5 ページ)
コンビニでアパレル商品が売れている。ファミリーマートが展開する「コンビエンスウェア」や、ローソンが人気セレクトショップとコラボした「インスタントニット」は軒並み人気商品となった。なぜ、コンビニで扱われるアパレル商品がこれほど人気なのだろうか。
ファミリーマートとアパレル事業の深い関係
コンビニエンスウェアのもう1つの特徴は、「FACETASM(ファセッタズム)」のデザイナー・落合宏理氏をアートディレクターとして迎え入れたこと。これまでコンビニにおけるアパレル需要の柱だった、緊急需要(Urgent Demand)以外による購買動機を狙ったデザインコンセプトを実現するためだ。
実は、過去にもファミリーマートは、アパレル販売に力を注いでいる。その1つが帝人フロンティアとの取り組みだ。15年の業務提携をきっかけに、16年から銀座の老舗「テイジンメンズショップ」のドレスシャツ(4000円台)とベルト、ネクタイ(3000円台)、ハンカチやポケットチーフ、肌着、トランクスまでを、ファミマ!!業態で販売。18年には、帝人フロンティアの高機能ストレッチ素材「ソロテックス」を使ったストレッチドレスシャツ(2980円)を全店で展開した。
ちなみに、このファミマ!!業態は路面に面した通常店とは異なり、出店する施設に合わせて、店舗デザイン、取り扱い商品、オペレーションまで柔軟に対応するコンセプト型店舗だ。04年に恵比寿に1号店をオープンさせて以来、全国に48店舗を展開している。
人気の火付け役になった「ラインソックス」
コンビニエンスウェアを一躍有名にしたのが、「ラインソックス」だ。白地に、ありそうでなかったファミマのイメージカラーを大胆に取り入れたデザインが人気を集め、SNSで拡散された。また、木村拓哉氏がラインソックスを着用した写真を投稿し、話題を呼んだ。
結果として、ラインソックスは累計販売足数1000万足を超える大ヒットを記録。コンビニエンスウェアを象徴するアイテムにまで成長したと言えるだろう。
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