ファミマの「服」は実際どうなのか ユニクロやワークマンと比較して見えた“矛盾点”:磯部孝のアパレル最前線(5/5 ページ)
コンビニでアパレル商品が売れている。ファミリーマートが展開する「コンビエンスウェア」や、ローソンが人気セレクトショップとコラボした「インスタントニット」は軒並み人気商品となった。なぜ、コンビニで扱われるアパレル商品がこれほど人気なのだろうか。
なぜコンビニがアパレルに参入するのか
なぜ、ファミリーマートやローソンは、アパレル事業に本腰を入れているのだろうか。コンビニ間での競争を考えた場合、各種サービス内容の差別化はあるものの、一番の主戦場は購入頻度が最も高い飲食カテゴリーだ。アパレルの取り扱いの是非が、売り上げ増を担う役割は正直低い。そもそも、日用品アパレルといっても、日・週単位で買い替えることはないからだ。
しかし、取り組み方によっては、コンビニでのアパレル販売は話題性の提供と集客手段にはなるはずだ。問題は一過性で終わらせず、いかに売場を定着させられるか。例えば、セブン-イレブンのシーズン雑貨を中心にした品ぞろえは、極寒日や積雪には売り上げも跳ね上がる緊急需要に対応した商品と位置付けられる。プライベートブランドを中心にした肌着やソックスなども、最小限の品ぞろえで緊急需要の範囲内と言えるだろう。
セブン-イレブンがアパレルを緊急需要のみにとどめている一方で、ファミリーマートやローソンは緊急需要以外に可能性を見出し、定着化を図ろうとしている。セブン-イレブンを追いかける、業界2位、3位の両社にとって、アパレルへの本格参入は、新しい存在意義を見いだしていく姿にも見えなくもない。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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