「優しいだけではなくピリッと」 経営陣からの注文
──制作にあたって苦労した点は?
石原さん: 人事で重要なことは無限にあって、100ページくらい書くことだってできてしまうんですよね。何を書くべきか、どう伝えようかということに、まずは悩みました。
それから、会社全体の戦略としてまとめるには、人事だけでなくいろいろなマネジメントの視点を取り入れたいと考えました。そこで、人事で作ったたたき台を元に社長と何度か話し合った上で、執行役員以上が参加する経営合宿に持ち込みました。
この内容で足りているのかとか、執行役員はそれぞれ何が大事だと思っているのかみたいなことをブレストし、発言してもらいました。たくさん出てきたものを集約したり調整したりがまた大変ではあったのですが、社内の課題を幅広く見渡した上で「特にこれが大事だよね」というところに着地しました。
──経営合宿でのフィードバックで印象に残っているものはありますか?
石原さん: ひとつあったのは、マネーフォワードって結構優しい会社なんですよ。人の良いところを褒めるのがすごく得意な会社なんです。でも、もう少し改善点を建設的に指摘できたほうが本人のためにも会社のためにもなるんじゃないかという話や、表現の仕方をもう少しピリッとさせたいね、みたいな意見が出たりもしました。
デザインに関しても、普段マネーフォワードが出している人事関連の情報は、柔らかく、暖かく、優しい見た目のものが多いんですね。今回はIRに近い資料ということもあり、全体の柔らかさを残しつつも柔らかすぎないようにしよう、ということになりました。
もうひとつは、これまではマネジメントの頭の中にあることを自然に実行できていた部分があったけれど、それを仕組み化していかないといけないね、という話がさまざまなところで出てきていました。会社が大きくなる中で、マネジメントの思いや方向性みたいなものを、メンバー全員が把握するのが難しくなってきているからです。
──現在の課題を改めて認識する場にもなったんですね。その過程で新たな人事施策のアイデアも出てきたのでしょうか?
石原さん: それはあまりなかったです。というのも、経営合宿は3カ月に1度あって、ほぼ毎回人事のディスカッションを持ち込んでいます。私が考えられていない課題や施策はないか、みたいな話をその度しているので、全く新しい施策が出てくることはありませんでした。
ただ、いろいろある人事施策の中でもここに重きを置いているんだな、ということがよく分かる機会になりました。
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