「ファミチキ×コーラ」の併売が7倍に! リテールメディアの真価と残る課題は:広告主の意見は?(4/5 ページ)
ファミリーマートと日本コカ・コーラ社がタッグを組み、リテールメディア活用に力を入れている。2023年4〜5月に実施したキャンペーンでは「ファミチキ×コーラ」の併売が7倍に。広告主から見たリテールメディアの真価と残る課題とは……。
ファミマのリテールメディア 他と何が違う?
リテールメディアは昨今急激に注目を集めており、小売各社が参入している。今後競争の激化が予想される中、ファミリーマートのリテールメディアにしかない強みを磨いていく必要があるだろう。ファミリーマート側は、自社のリテールメディア事業の強みをどのように分析しているのか。
ファミリーマートは、コンビニのリテールメディアとしての強みが3つあると話す。
まず1つは、客層の世代に偏りがないこと。SNSなどはリーチできる客層に偏りがある場合が多いが、ファミマの客層は世代が広い。また、全国に店舗があるため、広くリーチすることができる。さらに、コンビニは利用頻度が高いため、広告との接点もかなり多い。
2つ目は、購買意欲が高い状態の顧客に広告を配信できること、3つ目は、顧客データで効果検証ができることだという。
「他のメディアだと、広告やキャンペーンが購買にどこまで直結しているのか分かりません。リテールメディアは、実際に購買の行動変化を起こせたかをトラッキングできることが一番大きな特徴です」(ファミリーマート 国立さん)
実際にコカ・コーラも同キャンペーンを経て、リテールメディアの魅力を以下のように語っている。
「やはり顧客の購買に近い点は魅力的ですね。また、キャンペーン実施後のアンケートなど、細やかな分析ができる点も非常に良いポイントかと思っています。今後は、顧客データを活用した質の高いマーケティングやプロモーションへの発展に期待していますね」(日本コカ・コーラ 香川さん)
加えて、デジタルサイネージを持つファミリーマートならではの強みもある。広告を流すためだけではなく、メディアとして活用し、来店価値向上を目指している。
「FamilyMartVisionは単に販促メディアではなく、大きくはメディアであると捉えています。お客さまの店舗体験をより楽しくするためのメディアであるという大きな考え方のもと、番組なども制作しています。
広告はもちろん、知らなかった情報に出会える機会を提供することで『ファミリーマートに行くと新しいものがあるよね』『なんか楽しいよね』という気持ちを醸成したいと考えています。それが日常生活動線上にあるコンビニとして果たせる役割かなと思っています」(ゲート・ワン 速水さん)
FamilyMartVisionは10分間に40枠を用意しており、現状広告を27枠分、番組を13枠分配信している。同社はこの割合が現状のベストバランスだと話す。
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