連載
ハイブリッドが当面の“現実解”である理由 勝者はトヨタだけではない:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
EVシフトに急ブレーキがかかっている。CO2排出や電力消費の面で現実が見えてきたからだ。現時点ではハイブリッド車、そのなかでもエンジンで発電してモーター走行するシリーズハイブリッドが最も現実的な方式だ。その理由とは……
効率的なハイブリッドトラックにするために
トヨタのTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)は、シリーズハイブリッドにもパラレルハイブリッドにもなる独自のストロングハイブリッドと呼ぶ機構だ。これを大型トラックにも導入することは不可能ではないが、エンジンの出力や発進時の駆動力に耐えるためには、THSの各部品の強度も確保しなければならず、さらにモーターも2基必要になる。
どうせ2つモーターを使うのであれば、シリーズハイブリッドとしてエンジンを中型トラック用などにした方が安価で効率の高いシステムにできる。さらに駆動用モーターに2、3段の変速機を組み合わせれば、高速道路から市街地、急坂の登坂まで対応できるシリーズハイブリッドトラックができあがるのではないだろうか。
行き先が決まっている定期便であれば、燃料電池を利用する手もある。しかし、それもモーターだけで走行するのであり、現在の水素の製造や電気への変換効率を考えれば、シリーズハイブリッドと比べてそれほどメリットがあるとは言えない。
関連記事
- マツダの「MX-30 ロータリーEV」 現時点で“EVの最適解”と言えるワケ
マツダがロータリーエンジンを復活させたことで注目される「MX-30 ロータリーEV」。ロータリーエンジンを発電に使うこのクルマは、MX-30のEVモデルとは別物の乗り味だが、日常で使いやすい仕様になっている。今後のEV普及に向けて、現時点で「最適解」と言えそうだ。 - スポーツカーはいつまで作り続けられるのか マツダ・ロードスターに見る作り手の矜持
スポーツカーが生き残るのが難しい時代になった。クルマの楽しみ方の多様化や、規制の厳格化が背景にある。一方、マツダ・ロードスターの大幅改良では、規制対応だけでなく、ファンを納得させる改善を実施。多様化が進む中でビジネスもますます複雑になるだろう。 - なぜ「プリウス」が標的にされるのか 不名誉な呼び名が浸透している背景
トヨタのプリウスをネットで検索すると、批判的なコメントが多い。ドライブレコーダーの交通事故や暴走ドライバーの動画を目にすることが多いが、なぜプリウスは標的にされるのか。背景を探っていくと……。 - エンジン車の燃費は向上できるのか まだまだできることはある
クルマの燃費性能は、この20年ほどで急速に向上した。「もう限界でしょ」と思われている人もいるかもしれないが、まだまだできることはある。例えば……。 - なぜガソリンの価格は分かりにくいのか 値引きの仕組みが複雑な理由
ガソリンスタンドの価格が分かりにくい。店の看板がいくつもあったり、値引きも複雑であったり。なぜこのような仕組みになっているのかというと………。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.