2015年7月27日以前の記事
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アップルはなぜ「自動運転EV」の開発を終了したのか 考えられる理由は3つある高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

アップルが自動運転EVの開発を終了したという。かつてダイソンやグーグルもEVの自社開発を断念している。高い商品性を備えたEVの開発が難しいことに加え、自動運転は求められる技術力もリスクも非常に高い。また今後は、安全性だけでなく新たな価値提供も必要だ。

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グーグル、ダイソンも諦めたEV参入の難しさ

 EVは異業種からも参入しやすいモビリティと言われている。それはエンジン車に比べて構造がシンプルで、モーターやインバーター、バッテリーなどの基幹部品を外部から仕入れ、ボディを用意すれば完成してしまうからだ。

 しかし、それは英国発の家電メーカー、ダイソンの例を見れば理想論だと分かる。ダイソンは独自のモーター技術をもってすれば、既存の自動車メーカーでは実現不可能な魅力的なEVが作れるともくろんで開発を始めたが、わずか2年後(実際には発表前から基礎開発は行っていただろうが)には開発をストップして、製品化を断念した。2019年のことだ。

 一方、商品としては魅力的なモノが出来たと創業者のジェームズ・ダイソン氏は述べていた。それは自画自賛であったかもしれない。それでもビジネスとして採算が取れないという判断で撤退を決めたのだ。


ダイソンもEV開発から撤退(画像提供:ゲッティイメージズ)

 異業種からの参入でライバルと差別化できる商品性を備えたEVを作り上げるのは、生半可な技術やセンスでは不可能だ。中国では補助金目当てで乱立した新興EVメーカーが続々と倒産しており、日本にもその名が届く中堅ブランドでも瀕死の状態にあえいでいる。

 アップルがEV開発を中断した理由の一つは、こうしたEVとしての商品性と採算性の難しさがある。

 だがグーグルの場合は、ダイソンとはちょっと背景が異なる。グーグルが目指していたのは、小さな自動運転車だ。急成長した検索大手は、次の成長分野として自動運転車をターゲットにしたのだ。そしてこれが自動車業界に激震を招くことになる。

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