新幹線の「ワゴン」と「テレカ自販機」を販売して、どうだった? 知られざる2つの舞台裏:「次の駅まで」に読めるハナシ(2/4 ページ)
東海道新幹線で使っていた「ワゴン」と「テレカ自販機」を販売して、ちょっと話題になっていた。不要になったモノを販売していたわけだが、どのような反響があったのか。担当者に話を聞いた。
ワゴンの特徴
販売したワゴンは、車内で2014〜19年の間に使っていたモノである。特徴は2つあって、1つは後輪に足を置くところがあること。新幹線に乗るときや降りるときに段差がある。車両の連結部分などにも段差がある。こうした段差が目の前にあったとき、業務を担当していたパーサーは足を置くところに体重をかけ、前輪をやや浮かせて走行していたのだ。
もう1つはブレーキである。スーパーなどで使われているカートにはブレーキ機能が付いていないモノが多いが、車内で使われているワゴンには欠かせない。ハンドル部分にブレーキが備わっていて、移動する際にはブレーキを握る、離すとブレーキがかかる仕様となっている。
あと、ワゴンには3つの引き出しがあって、そこに冷たいジュースやアイスなどを入れていた。ということは、冷蔵や冷凍の機能を搭載しているのかと思いきや、そうではなかった。「飲料のところには保冷剤を入れて冷やしていました。シンカンセンスゴイカタイアイスについては、ドライアイスと一緒に入れて、あのカタサを維持していました」(山田さん)という。
さて、ワゴンの申し込み期間が終了して、2週間後のことである。JR東海リテイリング・プラスは2月19日に、新幹線の車内に設置されていた「テレホンカード自販機」(2万9800円)を発売した。
東海道新幹線では開業翌年の1965年より、車内に公衆電話を設置している。その後、テレカの普及に合わせて、車内のデッキ部分(N700系の場合、9号車と15号車)にテレカ自販機を置いていたのだ。販売していたテレカの多くは、新幹線の車両がデザインされていて、記念に購入する人がいたそうだ。
ただ、ご存じの通り、携帯電話とスマートフォンの普及によって、公衆電話の利用は激減することに。若い人からは「公衆電話なんて使ったことがないよ。テレカ? なにそれ?」といった声が聞こえてきそうである。そうした層が増えていくにつれて、公衆電話の存在が薄くなっていき、21年6月30日に終了した。
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