インタビュー
20万台を突破した「ミライスピーカー」が米国に “無名の商品”をどうやって売るのか:テレビの音が聞こえやすくなる(3/5 ページ)
累計販売数が20万台を超えた「ミライスピーカー」シリーズ。テレビの音を聞こえやすくする機能に特化したスピーカーで、特許技術の「曲面サウンド」が使われている。2023年11月に米国に本格進出したというが、ニッチなカテゴリーでどう市場を切り開いていくのか。
テストマーケティングを実施
23年11月、サウンドファンは新製品のステレオで本格的に米国進出した。同社では以前から米国進出を計画しており、現地の展示会に出展するなどしてテストマーケティングを実施していた。
「米国での初お披露目は23年1月のCES(世界最大のテクノロジー見本市)で、当時はホームを展示していました。来場者の方に体験してもらったところ、『言葉がとても聞き取りやすい』と好評でしたが、端子の問題で現地で普及しているテレビに接続できませんでした」(金子氏)
端子に加えて、形状にも課題があった。米国では、ドラマや映画などの音を臨場感のある高音質で聞けるテレビ用スピーカーの「サウンドバー」が普及している。それらの多くは横に細長い形状で、三角形のホームはテレビ用のスピーカーとして認識されづらいのだ。そこで、端子と形状の課題を解消したステレオで米国に進出することにした。
「米国で外付けのサウンドバーが普及している理由は、テレビの薄型化に伴いスピーカーの質が下がり、多くの人が内蔵スピーカーの音質に満足できないためです。この市場には、難聴の方向けに『音を聞こえやすくする』機能に特化したカテゴリーがあるのですが、このカテゴリーは現地でも、ほぼ知られていません」(田染氏)
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