障害者雇用も「ちゃんと稼ぐ」 DMMの専門組織「BC部」が黒字を実現できたワケ(2/3 ページ)
DMM.comでは専門部署「ビジネスクリエーション部」立ち上げ、障害者雇用に力を入れている。22年度には初めて部署で黒字化(人件費と販管費を上回る売り上げを上げた状態)を達成。この黒字化を達成するまでには、障害者雇用において解消すべきさまざまな課題があったと、BC部の梶進一部長は話す。
障害者雇用増を阻んだ2つの課題 なぜリモート?
障害者雇用を進める中で、2つの大きな課題があったという。
1つ目は、障害のある従業員が担当できる業務が少なかったこと。
障害者雇用に注力した初期は、同社の本業務ではなく、グループ企業で発生するシール貼りなどの軽作業を担っていた。しかし、業務ボリュームの問題で5人までが限界。圧倒的に業務が不足していた。
そこで、社内の各部署で最も時間がかかっている業務をリスト化し、障害者雇用でも処理できそうな業務から巻き取っていった。
「最初はるび入力(商品にフリガナを振る作業)を受託しました。そこからデータ管理業務、デザイン業務、Webサイトの更新作業……と業務の幅を広げました。社内で外注していた業務を、BC部で内製化できていますね。
せっかく当社に入社していただいたからには、本業についていただくほうが業務の拡張性もありますし、持続可能で、従業員にとっても企業にとってもウィンウィンなのではないでしょうか」
2つ目は、働く環境への課題感だ。多目的トイレ、発達障害のある従業員でも集中して働けるオフィス環境が必要だが、用意するにはかなりの時間が必要だった。
そこで同社はリモートワークに着目。自宅で働けることでハード面の課題を解決し、さまざまな理由で通勤できない人材も戦力として働けるようにした。
「リモートワークでは公私混同になってしまう可能性もあったため、業務ルールを整えていきました。例えばテレビ・ラジオ禁止、介護とペットに割く時間は無給にするなど、当時はリモートワーク自体がそこまで根付いていなかったため、細かいルールを設定しました」
リモートワークは慣れた環境で働きやすい、通勤時間も短縮できるメリットがある一方、教育のしづらさやコミュニケーションの希薄化という課題もある。梶さんも「生産性向上や業務の精度を上げる部分はかなり難航しました」と振り返る。
これらの課題は、月1で開催する業務ごとの定例MTGでノウハウ共有の時間を設けることで解消している。ビデオ通話ツール「Zoom」の画面共有で日々の業務・作業の様子を共有。非効率な部分があれば管理者が改善策を教えたり、従業員同士で「私はこんなやり方をしているから、よかったらやってみて」などとアドバイスをしあったり、ノウハウを共有しているという。
「マニュアルももちろん作りますが、それだけでは効率面は改善しません。みんなで作業の仕方を共有することで、最適化に早くつながると感じています。また、『自分のやり方を早く伝えたくてたまらない!』という従業員も多く、コミュニケーションの活性化にもつながったと感じています。
意見を出してくれた従業員には、評価につながるようにもしています。各従業員の工夫は、健常者でも思い付かないようなものばかり。私が追い付くので精いっぱいです」
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