中国系企業が日本の“再エネビジネス”に食い込む 「透かし騒動」から見る実態:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
政府の再生可能エネルギー関係の会議資料に、中国企業のロゴマークの透かしが入っていたことで騒ぎとなった。これはミスだったようだが、中国系の企業が日本の太陽光発電事業に入り込んでいることは事実。FIT制度を利用して多額の収入を得ることが狙いだ。
安全保障に影響を与える可能性も
筆者が入手した政府機関が作成した文書には、いくつかの中国系太陽光発電事業者の動きがリストアップされている。在日中国人(1)はFIT事業認定を約300件も獲得。帰化中国人(2)は約270件、帰化中国人(3)は約130件、在日中国人(4)は約80件と続く。
前出の公安関係者は「23年だけを見ても、こうした中国の事業者らが年間で得ている再エネ賦課金は20億円にもなるとわれわれは概算している」と述べる。つまり、私たちが毎月払う電気料金からこれだけの「賦課金」が中国企業などに払われていることになる。
『週刊文春』は23年10月、「中国国営系企業『上海電力』が青森県の空自基地近隣で太陽光発電所を運営していた!」という記事を掲載。記事で取り沙汰された「上海電力日本株式会社」も、この政府機関の文書に名前がある。
その資料によれば、上海電力は太陽光発電でFIT事業認定を9件受けている。日本企業と合同会社を設立したり、買収したりするなどして事業を展開しているという。『週刊文春』が記事で問題視した青森県東北町の太陽光発電所をはじめ、栃木県那須烏山市、茨城県つくば市、大阪市、兵庫県三田市や豊岡市、山口県岩国市に太陽光パネルの発電施設を建設している。加えて、福島県西郷村でもすでに上海電力関連のソーラーパネルが大量に設置されている。
大阪市南港の咲洲の施設は、大阪市の公共事業であり、上海電力にとって日本で初めてのメガソーラー発電所だった。実は、競争入札で落札したのは別の企業だったが、途中から同社が参入したことで物議になっている。
福島県などではこうしたソーラー発電施設に、造成工事などで土砂が流出するといった被害も出ており、環境への配慮についても問題視されている。さらに昨今注目されているのが、日本の重要地域に設置され、安全保障に影響を与える可能性がある施設だ。自衛隊の基地など防衛関連の施設に近接する事業があれば、周辺に関して情報収集が行われるかもしれない。
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