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どうする書店不況 ジュンク堂「稼ぐ」サイネージ設置 “過小評価”を払拭せよ書店のメディア化(1/2 ページ)

消えゆく「まちの本屋さん」。存続のカギを握るのは“メディア化”かもしれない。

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 書店不況は深刻だ。出版科学研究所によると、2003年の日本の総書店数は2万880店だったところから、2022年には1万1495店に減少している。約20年間でほぼ半減した形だ。


書店が姿を消している(写真はイメージ)

 書店という業態を存続させるには、書籍販売以外に収益の柱をつくることが欠かせない。そんな課題を解決するために、丸善ジュンク堂書店は、リテールメディア(小売り店が提供する広告媒体)の運用に乗り出している。

 同社は2月から、書店の入り口にサイネージを設置し、広告を配信している。広告の内容はオンライン英会話の商材だ。書店に訪れる人の「学びたい欲求」と親和性の高いものを選んでいる。「書店の数は減り、本の売り上げも右肩下がりが続く中で、本と文具に続く事業を開発していかなければならない」と、丸善ジュンク堂書店で新規事業開発を担当する坂本恭亮氏は話す。


ジュンク堂書店に設置されたサイネージ(提供:LMIグループ、以下同)

 同社が導入したリテールメディアの仕組みはこうだ。書店に訪れた人がサイネージに表示されたQRコードを読み込み、広告主のサービスに会員登録をすると、ジュンク堂書店で使えるクーポンが付与される。こうした仕組みで、広告を見た後の生活者のアクションを後押しする。これは「AdCoinz」という、実店舗空間に特化したテック企業、LMIグループ(東京都港区)が提供するサービスだ。


「AdCoinz」のビジネスモデル

Web上のアフィリエイト広告に代われるか

 クーポン発行の原価は広告主からの広告費でまかなわれる。店舗側はサイネージを設置する場所を提供することで設置代を受け取れ、設置にかかる初期費用はかからない。来店客がクーポンを使用し、追加購買をすることで売り上げ増も見込める。

 広告を見た人がその広告のサービスを購入した場合、店舗側にもレベニューシェアが行われる。サイネージにはAIカメラが搭載されており、サイネージの前を通った人の属性データは店舗側、広告主側に提供されるようになっている。

 AdCoinzの広告効果は、Web広告よりも高い可能性があるという。LMIグループがカラオケ業態の企業で実証実験を行ったところ、一般的なアフィリエイト広告の3倍に相当するアクション数が得られたという。

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