なぜ「猫ミーム」は流行り続けているのか? ネットの最強コンテンツを分析:電通デジタルが読み解く、SNSマーケの最旬トピックス(1/2 ページ)
TikTokを中心にさまざまなSNSで目にする「猫ミーム」。なぜ、この大流行は起きたのか、考えてみましょう。
連載:電通デジタルが読み解く、SNSマーケの最旬トピックス
デジタルマーケティングの世界では、大きな変化のうねりの中で日々、新たなアイデアやトレンドが生みだされ続けている。そんな中でも、特に生活者との重要なコミュニケーションの場になっているのがSNSだ。生活者の心を動かし、ブランドグロースや事業成長に寄与する施策はどんなものだろうか。また、SNSで話題になっては消えていくトピックスの中で、本当にキャッチアップするべきものをどう選別し、そしてどんな視点で解釈するべきか。日々さまざまなマーケティング施策やコンテンツに触れている、電通デジタルのメンバーがSNSマーケの最旬トピックスを解説していく。
本連載「電通デジタルが読み解く、SNSマーケの最旬トピックス」では、電通デジタルのソーシャルコネクトグループのメンバーが、今注目すべきSNSマーケティングに関するトピックスをそれぞれ解説していきます。
ソーシャルコネクトグループは、ソーシャルメディアのペイド領域、オウンド領域、そしてデータ活用の専門家で構成された電通デジタル内の領域横断組織です。「長期的なマーケティング支援」「短期的なプロモーション支援」「データ・ナレッジの蓄積」をお客様の課題や昨今のトレンドに沿ってオーダーメイドで戦略・戦術を描き、独自のソリューションを活用しながらマーケティング活動を支援します。
硬派なマーケティング・プロモーション直球の記事から、今のSNSトレンドに関するもう少しキャッチーな記事まで、さまざまな切り口から最旬トピックスを紹介・解説していきたいと思います。ぜひご注目いただければ幸いです。
第1回は、TikTokを中心に大流行を見せた「猫ミーム」について解説します。
なぜ、どのようにして流行ったのか? そして、このトレンドを敷衍(ふえん)し、どうして猫こそがネットの最強コンテンツなのかに迫っていきましょう。
なぜ今、猫ミーム?
百聞は一見に如かずということで、まずは猫ミームの動画をいくつかピックアップしてみましょう。特にTikTokの「おすすめ」からこうした猫のおもしろシーン(グリーンバック素材)が切り貼りされた動画が流れてきたことはないでしょうか。
また、猫ミームの流行に火をつけた初期の代表作として位置付けられるのが、Xに投稿され2.1万リポスト、11万いいねを記録した「カナダ留学行った時」。
自分の身の回りのあるあるネタや仕事・業界の説明を猫ミームで表現したり、最近のニュースを猫ミームで解説したりといったものが主流になっており、こうした動画が多数投稿され、そこで目にした人々の間で高い人気と中毒性をもたらしていきました。
この流れを受けて、例えば渡辺直美さんのような著名人もその流れに乗っかった動画を投稿しています。著名人をも虜(とりこ)にするほどに広がった猫ミーム。大流行の理由を考えてみましょう。
まず、猫は根本的に愛らしい存在で、見ていて不快な気持ちになる人が少ないという存在としての尊さが強力です。さらに、猫ミーム化して誰もが扱える「発信ツール」になったことで、手軽に動画をつくって拡散できるようになりました。同じ内容であっても、人間が演じるよりもネタの生々しさが中和され、扱えるコンテンツの幅が広がったことなどが人気の背景にあるでしょう。
人気コンテンツだからこそ、みんながUGCをつくり、さらにそれが拡散され……という正のループが上手く回った結果です。
関連記事
- コンビニの25倍も売れる コカ・コーラも期待するドリンクが「銭湯」を主戦場に選んだ真意
コンビニよりも銭湯で売れるドリンクがあるのをご存じだろうか? 日本コカ・コーラが出資したリラクゼーションドリンク「CHILL OUT」だ。なぜあえて「銭湯」を主戦場に選んだのか、その真意を取材した。 - 5500円もするシャーペン、なぜ即完売? 三菱鉛筆「クルトガダイブ」の画期性
三菱鉛筆のシャープペンシル「クルトガダイブ」が人気だ。店頭に並んだ瞬間、すぐに売り切れるという。ただ、価格は5500円と強気だ。シャープペンシルにしては高価だが、なぜこんなに売れているのか? - リプトン ミルクティー、わずか1年で「元の味に戻します」 なぜ、異例の判断をしたのか?
2023年3月、森永乳業は1年前に刷新した「リプトン ミルクティー」を元の味に戻すという異例の判断をした。その背景にはどのような出来事や葛藤があったのか? 森永乳業の担当者に取材した。 - レジ袋有料化の“二の舞”か プラ削減のために導入した「紙ストロー」が別の環境問題を引き起こすジレンマ
2022年は「プラスチック削減元年」と言っても過言ではないほどに紙ストローが普及した。環境に配慮した取り組みのようだが、レジ袋有料化同様に紙のほうが本当に環境負荷が小さいのか? という疑問が消費者の中で渦巻いているように感じる。紙ストロー移行は本当に意味があるのかというと……
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.