スーパー再編の大一番 首都圏を勝ち取るのはイオンか、セブンか それぞれの勝ち筋とは:小売・流通アナリストの視点(2/6 ページ)
上場している小売企業の決算期は2月が多いので、小売ウォッチャーにとって毎年4月は各社の決算発表を追いかける季節。今年はビッグネームの再編に関するニュースが飛び込んできて、個人的には興味津々の春となった。
イオンVS.地域有力企業の合従軍
図表2は左にイオングループのスーパー、右側に競合の有力スーパーを地域ごとに並べたものだ。どこでもイオンが存在していて、「イオンVS.地域有力企業」という構図になっていることが分かるだろう。なお、イオンの総合スーパーで地域子会社を組成している北海道、東北、九州以外は、地域別売り上げが不明であるため、店舗平均売り上げ×店舗数で仮推計値を目安とした。
今回、イオンが西友事業を買収する北海道を見てみよう。イオンがトップながら、コープさっぽろ、アークスといった地場有力企業が僅差で追う形となっている。今回、西友の売上規模は270億円だが、これは「イオンがライバルである地場有力企業を引き離す」ためのM&Aだったようだ。
そもそも、アークスというスーパーは、北海道で存在感を強めるイオンに対抗するため、地場食品スーパーが経営統合したグループ。東北、北関東にも賛同者を増やして、全社で5500億円超の巨大スーパー連合を形成している。イオンが次々にM&Aで勢力拡大を進めていくと、対抗して地域企業同士の再編も進行する、というのがスーパー業界における標準パターンなのだ。
他の地域でも、バロー(中部地方)は中小スーパーの買収を数多く進めているし、リテールパートナーズ(中国、九州)も地場スーパー連合体といえる。さらに、この3社は数年前に新日本スーパーマーケット同盟という提携関係を構築している同志だ。これこそ対イオン「同盟」であり、業界の基本的構図なのである。例えるなら、漫画『キングダム』の合従軍(最強の秦に対して諸国が同盟して対抗)といえるだろう。
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