スーパー再編の大一番 首都圏を勝ち取るのはイオンか、セブンか それぞれの勝ち筋とは:小売・流通アナリストの視点(3/6 ページ)
上場している小売企業の決算期は2月が多いので、小売ウォッチャーにとって毎年4月は各社の決算発表を追いかける季節。今年はビッグネームの再編に関するニュースが飛び込んできて、個人的には興味津々の春となった。
イオンに対し、九州で一矢報いたイズミ
九州においては、イオンにとって逆の展開が起きた。ゆめタウンなどの大型商業施設を運営してイオンに対抗してきたイズミが、西友の九州事業970億円を取得。これによりイオンを一気に追い上げることになる。
イズミは、広島から中四国、九州に広域展開して、イオンと競り合ってきた。しかし、中四国において大型M&Aを展開するイオンの存在感は、急速に増してきている。ここ10年ほどの間に、域内の有力スーパーであるマルナカ、フジなどを傘下に加えた。8000億円規模の新生フジを作り上げたイオンは、地元のイズミを一気に引き離した。九州では西友を買収し一矢報いたイズミが、攻勢を強めるイオンにどのように対抗していくか、さらなる再編もありうる局面が注目されている。
1兆2000億円の事業基盤を構築したイオン
こうして、ジリジリと全国でシェア拡大を続けるイオンが、最も力を入れているのが首都圏である。国内の人口のおよそ3分の1を占め、人口減少というこの国の最重要課題を人口流入によって最後まで先送ることができる首都圏こそ、スーパーの主戦場だからだ。
イオンは現在、本社を千葉市幕張に置いている。だが、元々は三重県四日市発祥の企業であり、かつて関東以東は手薄なエリアだった。しかし、2000年代以降の流通大再編期において勝ち組となったイオンは、マイカルやダイエーなどを傘下に入れることで相応の地盤を確保。それでも首都圏における存在感は、圧倒的トップシェアといえるものではなかった。
近年では、マルエツ、カスミという関東の大手スーパーを軸にユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下、USMH)という売り上げ7000億円クラスのスーパーを組成。今年からはUSMHにいなげやも参加するため、売り上げ1兆円という国内最大級の食品スーパーとなる。
また、2005年から独自で開発した都心型ミニスーパー「まいばすけっと」も売り上げ2000億円を超えている。イオンは食品スーパーだけでも1兆2000億円以上の新たな事業基盤を構築したのだ。
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