雑貨市場のZARA? 2年で1.9倍に急成長した「3COINS」が実践する売れる仕組みとは(1/3 ページ)
「3COINS」は300円商品を中心にデザイン性の高い生活雑貨やインテリアを取りそろえるブランドで、20〜30代の女性を中心に人気を博しており、売上高も直近2年で1.9倍と急成長しています。ただ、雑貨自体は業態としては昔から存在しており、無印良品やダイソーが展開するStandard Productsなどの競合が存在しています。この競争の激しい雑貨市場でなぜ3COINSが急成長できたのか、その売る仕組みについて分析していこうと思います。
みなさま「3COINS」という雑貨ショップをご存じでしょうか? 300円商品を中心にデザイン性の高い生活雑貨やインテリアを取りそろえるブランドで、20〜30代の女性を中心に人気を博しており、売上高も直近2年で1.9倍と急成長しています。ただ、雑貨自体は業態としては昔から存在しており、無印良品やダイソーが展開するStandard Productsなどの競合が存在しています。
この競争の激しい雑貨市場でなぜ3COINSが急成長できたのか、その売る仕組みについて分析していこうと思います。
売上200億円超えてなお、2年で1.9倍と急成長中
3COINSを展開するのは、大阪に本社を置き衣料品販売と雑貨販売を手掛ける「パルグループホールディングス」です。2022年の通期売上高は1644億円(YoY+22.5%)、営業利益率は9.6%となっています。
3COINSは好調なパルグループの中でも特に成長率が高く売り上げの伸びを牽引(けんいん)しています。2023年度通期決算発表時点では、全国に268店舗を展開しており、購入者の9割が女性となっています。3COINS事業の2023年の売り上げは489億円、前年比成長率は+29.0%となっており、2年前の257億円と比較するとほぼ2倍になっていることが分かります。
同ブランドの商品ラインアップは300円台のデザイン性の高い生活・インテリア雑貨が中心で、その他にも低価格帯中心に家電なども取りそろえています。100均よりも質が高くかわいいデザイン、ニトリやイケアなどの専門店よりは安いけどデザイン性が高くコスパの良い、100均と専門店の中間かつよりデザイン性が高いポジションをとっていると考えられます。
店舗数は2014年に104店舗だったところから2023年268店舗まで伸び、9年で2.5倍。2021年11月にはトレンドの中心地である東京・原宿に旗艦店もオープンしており、積極的な出店を進めていることが分かります。
しかしこの市場には「無印」という昔ながらのブランドが存在するほか、ダイソーや婦人服のパレモ・ホールディングスも、デザイン性の高い「Standard Products」や「THREEPPY」「illusie300」を出店しており、競合が多数存在しています。このようなオシャレ雑貨戦国時代といえるような競争環境の中、なぜ同社は力強い成長を実現できているのでしょうか? そこには祖業がアパレルの同社ならではの売れる仕組みがありました。
theLetter
関連記事
「広告費0」なのになぜ? 12年前発売のヘアミルクが爆売れ、オルビス社長に聞く戦略
12年前発売のヘアミルクが爆売れし、2023年のベストコスメに選ばれた。「広告費0」「リニューアルも一切なし」を貫いてきたのになぜ? オルビス社長に戦略を聞いた。
「バズり」を逃さず「関係ない商品」も売る――オルビスの緻密な戦略がすごい
「広告費0」「リニューアル一切ナシ」にもかかわらず、熱狂的なファンを獲得し続け大ヒットしたオルビスの「エッセンスインヘアミルク」。同社は「バズり」を逃さず、「関係ない商品」も売る緻密なクロスセル戦略に成功している。
「バカじゃないの?」とも言われた――4℃は「ブランド名を隠す」戦略で何を得たのか
SNS上で一部ネガティブなイメージが語られ、度々話題を集めているジュエリーブランド「4℃(ヨンドシー)」。9月にブランド名を隠した期間限定のジュエリーショップ「匿名宝飾店」をオープンし、話題に。瀧口社長が「匿名宝飾店」を振り返って感じた手応えは……?
D2Cはオワコンなのか 多くのブランドが淘汰された背景に“闇深い”事情
D2Cビジネスは冬の時代を迎えている。なぜ多くのブランドが淘汰されたのか……。背景に3つの理由がある。
“勝ち手法”だった「インフルエンサーマーケ」 急激に失速した2つの要因
D2Cの“勝ち手法”だった「インフルエンサーマーケティング」が急激に失速した。「D2C」を取り巻く市場は厳しい中、企業は従来の「インフルエンサーマーケティング」の認識をアップデートする必要がある。

