“味の素流”健康経営の要点とは? 「全員面談」で潜在リスクを発見
味の素グループでは、従業員とその家族の健康が最も重要な経営基盤の一つと考え、職場の栄養改善やセルフ・ケアの維持向上のための施策を展開している。同社の人事に狙いを聞いた。
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従業員がいきいきと働き、イノベーションを創造できる職場環境づくりを推進しているのが味の素だ。味の素グループでは、従業員とその家族の健康が最も重要な経営基盤の一つと考え、職場の栄養改善やセルフ・ケアの維持向上のための施策を展開している。3月には、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄」に6度目の選定を受けた。
具体的な施策として、全従業員への定期健康診断後の個別面談を年1回実施。健康診断結果や就労状況を時系列で把握できる従業員専用のWebサイト「My Health」の利用を促進している。同サイトでは日々の健康状態を確認するだけでなく、改善をサポートする健康関連情報コンテンツにいつでもアクセスでき、産業医や保健師との健康相談窓口や味の素健康保険組合サイトとも連携できるようにしている。同社の人事に施策の狙いを聞いた。
健康診断、就労状況、生活習慣のデータを統合
――My Healthを設置した狙いは。
当社では社員と家族の健康寿命延伸に向けた「味の素流の健康経営のありたい姿」として「味の素グループで働いていると、自然に健康になる」を掲げています。会社が社員と家族の健康増進を支援することによって「バランスの良い食事」「適度な運動」「良質な睡眠」を意識したセルフケアを習慣化する環境作りが必要だと考えました。社員が、いつでもどこでも見えるよう社内イントラ上にMy Healthを掲載しました。
――My Healthでは健康診断、就労状況、生活習慣の3つのデータを統合しています。この3つを統合している取り組みは、あまり聞いたことがありません。この統合によって可能になったこと、経営面でよかったことは。
先述の通り、セルフケアを高めるデータを閲覧できるだけでなく、個人の健康状態を可視化することにより、自分の健康増進につながる情報やウェビナーなどもアクセスできます。
経営面では、紙ベースからデジタル化(ペーパーレス)になり、例えば異動部署間の健診データのやりとりがデータ化により不要となり、生産性向上、情報セキュリティ面への好影響、費用削減などにつながっています。
――My Healthの外販は考えていませんか?
MyHealthは一部国内グループ会社と共有しています。
――社員の不調を早期に発見するため、最低でも年に1回「全員面談」を実施しています。効果はありましたか?
当社は定期健康診断後、セルフケア問診も含めた個別面談を、パート社員を含む全従業員を対象として実施しています。「全員面談」を通じて、一人ひとりの価値観にそった面談により、例えば数値には出てこない潜在的なリスクを見つけ、生活習慣病予防や重症化を防ぎ、セルフケア向上につながっていると考えています。
――これらの取り組みから、経営全体にどんな影響がありましたか?
当社は志(パーパス)として「アミノサイエンスで人・社会・地球のWell-being」を掲げています。その担い手である全ての社員のWell-being向上が不可欠だと考えています。最も大切な資産である人財へ投資することにより、今後も、企業価値を高め持続的な成長をしていきたいと考えます。
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ワークスタイル変革の第一線を走るサイボウズの青野慶久社長が「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 夏」に登壇。
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